悲願のグラミー賞受賞、マイリー・サイラスの「Flowers」は「訣別の歌」。【高橋芳朗の暮らしのプレイリスト】
マイリー・サイラス「Flowers」
グラミー賞受賞、自立心にあふれる力強い「訣別の歌」。
世界最大規模の音楽の祭典、グラミー賞授賞式が日本時間2月5日に開催されました。第66回を数える今回のセレモニーでは、ウーマンパワーが爆発。
「ビッグ4」と呼ばれる主要4部門(最優秀レコード賞、最優秀アルバム賞、最優秀楽曲賞、最優秀新人賞)すべてを女性アーティストが独占しています。
そんななか最も栄誉ある最優秀レコード賞に輝いたのは、世界37カ国のチャートを制したマイリー・サイラスの「Flowers」。ディズニー・チャンネルのドラマ『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ』の主演を務めて弱冠13歳でブレイクしてから18年、アメリカを代表するシンガーへと成長したマイリーが悲願の初受賞を果たしました。
いまを生きるアーティストとして、そしてひとりの女性として。この「Flowers」からは、マイリーの「成熟」を聴き取ることができるでしょう。ここで彼女が歌詞の題材にしているのは離婚した元夫、リアム・ヘムズワースとの訣別です。
「花ぐらい自分で買える。ダンスだってひとりで行ける。私はあなたなんかよりも自分の上手な愛し方を知っているの」
別れの歌でありながら、ファンキーなディスコサウンドに乗せて自立と自己肯定を高らかに宣言する「Flowers」の力強さ。マイリーが提示した現代的な女性像は、ウーマンパワーが支配した今回のグラミー賞にふさわしい威厳に満ちています。
『クロワッサン』1114号より