病気になったらいくら必要?公的支援は?お金のプロが解説します。
ピンチをなんとか乗り切るために、知っておきたいことをファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに聞きました。
イラストレーション・しりあがり寿 文・長谷川未緒
病気
国の制度が充実しているので過度な心配は不要。
貯蓄が全くない人は医療保険加入の検討を。
(CASE 1)がん検診で初期の乳がんが見つかり、入院して手術することになりました。
【手術・入院(7日間)で約18万円*】
がんは、種類やステージによって治療法や治療費が異なるが、厚生労働省の医療給付実態調査(令和3年度)から乳がんにかかる総医療費を算出すると、7日間の手術・入院で61.2万円。自己負担は原則3割なので、実際の支払い額は約18万円だ。また、1日から月末までの医療費(保険適用分のみ)が高額になると、一定額を超えた分が払い戻される高額療養費制度がある。
「年収によっても違いますが、8万100円+総医療費の1%ほどをオーバーする金額が払い戻されることが多いので、実際の支払いは9万円程度に。ただし月ごとの計算になるので、月をまたいで入院した場合は注意が必要です」。支払いが高額になるとわかっているときは、事前に「限度額適用認定証」を取得して窓口に提示すると、支払いも上限までで済む。また、マイナ保険証対応病院の場合、自動的に上限までの請求になる。
(CASE 2)糖尿病が悪化し、透析治療を受けることに。
【手術・入院(10日間)で約12万円*】
高額療養費制度が適用になるため、払い戻し後は8万円程度に。透析治療を受ける場合は、生涯に続くこともあり、費用は気になる。
「慢性腎不全による人工透析治療は、1カ月に40万円程度が必要といわれていますが『特定疾病療養受領証』の対象に。交付を受ければ、ひとつの医療機関につき、月額1万円(高所得だと2万円)までの支払いで済みます」。糖尿病は関連した病気のリスクも上がるが、高額療養費制度は、その月に同一医療機関に支払った医療費を合算できる(医科・歯科、入院・通院などは区分けのうえ合算)。
*厚生労働省「医療給付実態調査」(令和3年度)より算出。
『クロワッサン』1111号より