肌映えが良く実用的、温かなオートミール色のニット【大沼こずえの「ずっとの、おしゃれ」】
毎月1つのテーマで、装う楽しさを再発見します。
撮影・小川真輝
温かい色と風合い。季節を味わうニット。
こんにちは。スタイリストの大沼こずえです。
ニットの季節・後編は、オートミール色のローゲージです。
健康フードとしての再評価が影響してか、ファッション用語としても聞くようになったオートミール。
少し甘めのベージュや生成り、時に濃い色も混ざった色のニュアンスを表すのに、なるほどピッタリです。特にニットは、その肌触り、温かく煮たオートミールの湯気、寒い朝の空気……というイメージが相まって、親和性も高いアイテムです。
実用的な色でもあります。肌映えもよく重く見えず、白ほど汚れも目立ちません。黒やデニムなど、手持ちのボトムスとも合わせやすい。
そもそもボリュームのあるローゲージニットはコートを羽織りづらく、冬に1枚では寒い、つまり旬が短い贅沢品です。
とはいえ、秋から冬の、一瞬の清々しさを存分に味わう喜びは装う醍醐味。馴染みやすく、ほどよく華やかなオートミールカラー。さらにはアクセサリーを考えたり、重ね着をせずとも1枚でさまになる、首回りが地味にならないデザインを選び、なるたけ活躍の機会を増やしたいところなのです。
昨今の気候変動で、将来的には春と秋が消える、なんて話も。どんどん貴重になる季節をより深く感じるために、ニットを。ようやくひんやりしてきた朝にそんなことを考えたのでした。
『クロワッサン』1104号より