今さらすぎて、なかなか聞けない!? 2019年版・お金の常識Q&A。
文・生島典子 イラストレーション・山口正児
あなたは、お金の情報をどこから得ていますか? テレビやネット、友だちから得た知識は、本当に正しいのでしょうか? お金の制度や情報は日々変化していて、知らないと損をすることもあるので、特に正しい知識を得ることが大事です。
また、よくわからないからと金融機関の窓口や保険ショップに相談に行く人も多いでしょう。相手は金融のプロですが、消費者にとって有利なことばかりをすすめているとは限りません。言われるままに購入せず、事前の情報収集も行いましょう。
[保険Q1]病気になっても1カ月の医療費は、 9万円程度ですむってホント?
A.健康保険の対象になる治療ならそうです。
健康保険の「高額療養費制度」は下の図のように、高額の治療費がかかってしまっても、1カ月あたりの自己負担が一定額ですむ制度です。年収約370万~770万円の人の場合は、1カ月の自己負担の上限額は9万円程度(※)。収入によってこの金額は変わってきます。
ただし、高額療養費制度の対象になる医療費は、「健康保険の対象となる治療費」のみ。健康保険の対象外の治療や入院時の差額ベッド代、食事代、パジャマ代などは含まれません。高額療養費制度で、かなりの医療費をカバーできますが、自己負担が必要な部分もあることを知っておきましょう。
高額療養費のしくみ
[保険Q2]外貨建ての保険をすすめられました。これってトクなの?
A.加入するなら、しくみを理解してから。
外貨建て保険は、外貨で保険料を払い、外貨で保険金や満期金を受け取るしくみ。円建ての保険よりも予定利率は高くなりますが、必ず為替の影響を受けることになります。外貨建て保険の問題は、保険会社の営業員にすすめられて、しくみがよくわからないまま契約する人が多い点です。セールスのときにはいいことしか言わないので、同時にデメリットも聞いて、自分でメリットとデメリットを紙に書き出して精査した上で検討しましょう。
一時払いで加入する保険の場合は、ニュース等で円高だと言われているタイミングで加入するのがよいでしょう。
外貨建て保険のメリット・デメリット
〈デメリット〉
● 為替変動で受取額が少なくなることも
● 金利が高い通貨の場合は為替変動が激しいこともある
● 円と外貨の交換時にも為替手数料がかかる
〈メリット〉
● 円建てより予定利率が高い
● 加入時より為替相場が円安に動けば、想定より受取額が増える
● 円建てより安い保険料で一定の保障を得られる
[保険Q3]長女が出産して孫ができ、「教育費を貯めるなら、学資保険よ」とアドバイスしました。あっていますよね。
A.学資保険の予定利率は下がっていて、 以前のようには増えません。
学資保険の予定利率は下がっていて、どこの会社の商品でも増えるという状況ではなくなっています。日本生命、明治安田生命、富国生命のように、貯蓄性のある学資保険に、できるだけ短期払いで加入するのがおすすめ。元本割れしてしまう学資保険もあるので、入り方が難しくなっています。保険会社も収益を得られる商品ではないので、積極的に販売していない場合もあります。教育費を貯めるために入るのなら、減るものでは意味がありません。払う保険料の総額より受け取るお金の総額が大きくなる保険を選びましょう。
今は、すべての教育費を学資保険で準備する時代ではなくなっています。学資保険と並行して投資信託の積み立てなどで貯め、決まった時期に必要な入学金などに学資保険をあてるといいでしょう。
[保険Q4]周りでがんにかかる人が多いのですが、がん保険には加入すべきでしょうか?
A. これから加入するなら、治療の保障を重視して。
入院費用は、高額療養費制度や医療保険の入院給付金である程度はカバーできます。最近ではがんの場合でも入院は短期化していて、通院治療が増えています。そのため、長期にわたりがちな抗がん剤治療や先進医療への備えが大事です。チューリッヒ生命の「終身ガン治療保険プレミアムDX」は、放射線治療、抗がん剤治療、ホルモン剤治療の保障が主契約で、ガンの先進医療特約だけつけて加入すれば、手ごろな保険料でかなり広い範囲の治療をカバーできます。すべての病気・けがを対象とする医療保険を基本に、それを補完するがん保険に加入する方法です。がんと診断されたときにまとまったお金が受け取れる「がん診断一時金」は、ありがたいのですが、保険料の負担と受け取れる給付金のバランスで検討しましょう。
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