割ることを恐れて使うより、安くても口当たりのいいものを買って、毎日よく使うこと――入部隆司(レストラン「シェ・フィガロ」主人)
文・澁川祐子
割ることを恐れて使うより、安くても口当たりのいいものを買って、毎日よく使うこと――入部隆司(レストラン「シェ・フィガロ」主人)
料理のプロに、家庭で使う食器選びのコツを教えてもらおうという企画。最初に本格フレンチレストランのオーナーシェフが登場し、磁器のコーヒーセットやディナーセット、グラス類など王道の洋食器の選び方を指南しています。
コーヒーカップは、デミタスやスタンダードなど種類をいろいろ揃える必要はなく、大きめのモーニングカップを選ぶこと。お皿は、料理に目が行くように、柄のあしらいは周囲だけの控えめなものを。初心者に向け、かなり現実的かつ具体的なアドバイスが並びます。
ディナーセットは25㎝、22cm、18cmのお皿に、14cmのスープ皿と15cmのスープ受け皿があれば、かなりのご馳走ができるとのこと。最近ではセット一式を揃える人は少なくなっているかもしれませんが、いちばんよく使う18cmの中皿は多めに揃えると便利、などポイントをおさえたコメントはいまも大いに参考になります。
名言が出てくるのは、グラス選びのくだり。グラスもウォーターグラスがあればたいていのことは間に合うが、ワインだけはワイングラスを揃えよう、という流れのなかで語られています。
高価なグラスを買って、割れるのを怖がってしまいこむよりは、安くても使っていて心地いいものを選び、毎日の食卓で活用すること。<食卓に出すグラス類をきれいに洗って、水滴のあとがつかないようによく磨いておく、この心がけが大切>という言葉とあわせ、心に留めておきたいひと言です。
※肩書きは雑誌掲載時のものです。
澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。
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