カルチャー

古墳と山の辺の道のまちで、「倉をひらく」オープンイベント開催中

2025.11.07

文・クロワッサン編集部

古墳群と日本最古の道と言われる〈山の辺の道〉に育まれた天理の地で、オープンドアイベント『天理　倉の耕流（こうりゅう）祭』が開催されます。食、ものづくり、文化に携わる市内全域の28の団体が参加。

日本の工芸文化を元気にしたい。麻製品など日本の伝統技術を活かした生活用品で人気の『中川政七商店』（本社・奈良市）が昨年、その願いと自らの屋号から名付けた流通倉庫「NKG倉庫」を同市に設立しました。その縁をもとに企画されたもの。

参加団体すべてを「倉」と呼び、いっせいに倉をひらくお祭りに見立てたイベントです。貴重な体験ができたり、普段入れない場所に入れたり、買えないものが買えたり。期間は11月7（金）から9（日）まで。特別で楽しい3日間、ぜひ訪れてみて。

ものづくり、食、文化と歴史。地域の誇りをいちどきに

『中川政七商店』は広さ2700坪の「NKG倉庫」を解放。通常では入れない倉庫のなかで限定オリジナルグッズを販売するほか、お得なアウトレットセール、奈良の食や工芸の作り手を集めてのマルシェを開催。子どもが遊べるコーナーやフードのブースも登場予定です。1716年（享保元年）創業、300余年の歴史を持ち、日本の工芸に根差した暮らしの道具をつくり全国60以上の店舗を展開する同店ならではの内容です。

奈良の郷土食といえば柿の葉ずし。文久元年（1861年）から続く老舗『平宗（へいそう）』では、期間中「本社工場見学＆柿の葉ずしのお話＆柿の葉ずし作り体験」ができます（2,200円）。柿の葉ずしは江戸時代から吉野地域の夏祭りのごちそうだったそう。ビタミンCとタンニンを多く含む柿の葉は殺菌効果が強く、それで酢締めの魚と米を包むことは山あいの生活が生んだ知恵でした。自分で包んだ寿司はひときわ美味しく、柿の葉のよい香りに頬が緩みます。

そのほか、エスプレッソマシンや焙煎機などカフェ関連用品の会社『大一電化社』では、「コーヒー焙煎体験」や「バリスタとコーヒーの味比べ・味覚体験」「技術部によりエスプレッソマシンの構造見学」ができます。また、奈良の伝統産業、蚊帳を織りから染めまで一貫生産する県内唯一の会社『丸山繊維産業』では、普段は入ることのできない「繊維工場の見学・体験」が可能です。

奈良土産として誰にでも喜ばれる蚊帳ふきん。『丸山繊維産業』のふきんは天理駅前「iCONNECT shop」で買える。各550円

宿の『cofinia』は〈山の辺の道〉沿い、敷地内に西山塚古墳があります。古民家を改装した趣ある建物は、古墳や埴輪好きの若い世代から歴史ファンの大人まで幅広い層に大人気。「古墳とともにある暮らし」をコンセプトに、古からの自然との共生の知恵を伝えています。〈陰陽五行〉をテーマにしたゲストルームはどれも個性的。今回のイベントでは薬草や発酵食など、さまざまな体験・ワークショップを開催。ぜひ立ち寄ってみて。