「子育て終盤期」に必要なお金──最後にして最大の難所! 大学の費用は上がり続けている【女の人生、いくら必要?】
イラストレーション・霜田あゆ美 文・黒澤 彩
子育て、介護、年金……。女の人生、いくら必要?
40代、50代は、会社勤めを続けてきた人、子どもを育てあげた人など、それぞれが人生の折り返しを迎える。ほっと一息つきたいところだけれど、この先いったいどれくらいお金がかかる? 貯蓄は足りる? など心配は尽きない。
「人生を四季に例えるなら、アラフィフ以降は秋にあたる時期。冬を迎えるまで、まだだいぶ時間があります。やりたいことを考えたり、稼ぐ力をつけたり、自分の力で人生後半を生きていくイメージをしておきたいですね」
と話すのは、社会保険労務士の資格を持つ、ファイナンシャル・プランナーの井戸美枝さん。とくに女性は平均寿命が延びていることもあり、人生の終盤に向けて、家計や暮らしの変化に備える必要があるといいます。
「何にどのくらいお金がかかるのかわからないから不安になって貯め込んでしまうのだと思いますが、ひたすら節約して貯めるというのは、クロワッサン読者の皆さんには合っていないのでは? 人生の秋を充実させて、楽しむことも大切にしてほしいのです」
そのためにも、まずは自分の世帯の年金額や生活費、この先の大きな支出をシミュレーションしてみることが大切。年金だけでは足りないとわかれば、定年後も働き続けたり、今からでもiDeCoやNISAといった制度を活用して、年金にプラスする分のお金を増やすこともできる。
また、井戸さんがこれだけは! と注意を呼びかけるのが、親世代の金銭感覚を参考にしないこと。
「親が個人年金保険などで老後資金を作れたからといって、同じ方法で大丈夫などと思わないことです。昔と違って、今は銀行や保険会社にお金を預けておくだけでは充分に増えません。お金の常識は時代とともに変わると肝に銘じて、今の時代のマネーリテラシーを身につけましょう」
子育て終盤期
最後にして最大の難所! 大学の費用は上がり続けている
「ずばり、学費は年々高くなっています。デフレ下でも大学の費用だけはずっと上がり続けていたので、10年以上前に目標を決めて貯めておいた金額では足りない可能性も」(井戸さん)
下記にあるとおり、統計に基づいた試算では、大学受験〜卒業まで、もっともお金のかからない国立大学でも約600万円、私立理系なら900万円以上かかる。一人暮らしをさせるならこれに加えて年150万円ほどの生活費が必要に。
「かつては500万円用意しておけばいいという感覚でしたが、今はそれでは足りません。奨学金は子どもの借金になってしまうとはいえ、最近はバリエーションが増えてきているので一度調べてみてもいいでしょう。ただし、親の所得が高いと借りられないことが多いようです。教育ローンも含め、どうやって大学の費用を工面するか、早めの情報収集が大切です」
大学に備えて、高校までの教育費は家計の範囲内に収めたい。
子どもの大学受験から卒業まで、合計いくらかかる?
国立大学:約620万円
私立大学文系:約770万円
私立大学理系:約910万円
『クロワッサン』1146号より
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