書店は思考のセレクトショップ 角田光代さんが本屋で過ごす豊かな時間
撮影・黒川ひろみ ヘア&メイク・遠藤芹菜 文・長谷川未緒
思いがけない本との出合いで趣味が広がったり、書店員との会話やイベントから興味の幅が広がったりと、書店は新しい感性を磨くきっかけに。
作家が頼りにする書店とはどんなものなのだろうか。
古書店を巡る著作もあり、「できるだけ書店に通うようにしている」という角田光代さんに、まずは東京の新刊書店と古書店を薦めてもらった。
星の数ほどある新刊を手に取りやすく、魅力的に並べる書店
本屋B&B(下北沢)
「棚から棚へと、ゆるやかに繋がったテーマの本が配置されているので、満遍なく見て回ります。一冊ずつ丁寧に選書されていて、ここに足を運ばないと見つけられなかったと思うような、見たことがない本ばかりが並んでいることにいつも驚くんです」
そう語る角田さんがおすすめするのは、ブックアンドビアの名前のとおり、スタッフがセレクトするクラフトビールが飲める新刊書店「本屋B&B」だ。
さまざまなジャンルを扱っているが、料理や暮らし、旅といったカテゴリーが人気。最近はフェミニズムや心のケアの関連本、韓国文学も売れ筋だそう。
個人や団体が少部数を自主制作で発行するリトルプレスや、ZINE(ジン)の品揃えが豊富なのも見どころのひとつだ。
ほぼ毎日、トークイベントを開催しているのもユニークな取り組みで、角田さんも何度か登壇したことがあり、イベントの前後で店内を巡るのを楽しみにしていると言う。
「本の並べ方も独特で、たとえば料理の棚は、レシピ本だけではなく、食をどう捉えるかといった考え方にも影響を及ぼすような本が揃っています。旅の棚も、地図や旅行記などセレクションが魅力的です」
「気になる本は何冊もあるのですが、本は買ったら積んでおかずに読みたいタイプ。なので、いますぐ読めるボリュームや内容の本を吟味して買うようにしています」
本屋B&B
東京都世田谷区代田2・36・15 BONUS TRACK 2F
TEL.03・6450・8272
営業時間:12時~21時(土・日曜、祝日11時〜。イベントにより変動あり)
年末年始休
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