みんなの介護の「困った」を解決!親が徘徊するようになった、どうすればいい?
イラストレーション・山田美津子 文・殿井悠子
Q. 親が徘徊するようになった、どうすればいい?
A. 迷子タグを用意して顔写真の撮影を、原因を探りパターンを知ろう
親が徘徊して行方不明になったら、まずはすぐに警察へ行くこと。1日以上経つと発見される確率が大幅に下がってしまうからだ。
「徘徊が始まるということは足腰もそれなりに弱ってきているので、最も多いトラブルは転倒骨折。それから、夏場は熱中症、冬場は低体温症で動けなくなったり、交通事故に遭うことも多い。とくに公共交通機関を利用して徘徊する場合の行方不明者の数は年々増加しており、社会問題になっています」
徘徊する原因はいくつかあるが、一番わかりやすいのは、前頭側頭型認知症の人だ。
「サラリーマンだった人が会社に行こうとしたり、農作業をやっていた人が畑に行こうとしたり。前頭側頭型認知症の人は決まった行動を毎日繰り返す習性があるので、行動範囲を把握しておけば徘徊ルートがわかり、追うことができることも」
ほかには、体の不快感や不調から動き出してしまう人や、不安やストレスから家出のように出て行ってしまう人も。近所を徘徊するのは、記憶障害によるものが多い。このように対策を考える際は、まずどういう認知症なのか、そのパターンを知ることが鍵になる。
徘徊症状が出たらすぐに用意したほうがよいのは、名前、住所、連絡先を明記した迷子タグ。本人にわかりやすいところに持たせたり、靴に入れておくなど、複数用意していろいろな場所に忍ばせておこう。
「僕の管轄の新宿区では、高齢者見守りキーホルダーを無料で配布していて、それには地域包括支援センターの連絡先が書いてあるんです。登録しておくと、迷子になったとき、見つけてくれた人が連絡をくれれば、センターの人が迎えにいく仕組みになっています」
さらに用意しておきたいのが、親の顔写真。昔の写真では参考にならないし、認知症状になると顔つきが変わることがあるので、頻繁に最近の顔写真を撮影しておきたい。
『クロワッサン』1134号より
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