海外文学にハマると、思わぬ自分に出会えるーー金原瑞人 × 頭木弘樹 対談
悩んだ時に支えてくれたり、ただただ面白くて仕方なかったり。文学の楽しさと力強さについて、翻訳家の金原瑞人さんと、作家で翻訳家の 頭木弘樹さんが語り合います。
撮影・青木和義 文・嶌 陽子 構成・堀越和幸
ここ数年、金原さんの心をつかんだ5冊。
『Lの運動靴』
キム・スム 著 中野宣子 訳
(アストラハウス)
1987年の民主運動で命を落とした「L」の遺品である運動靴が美術修復家の元へ持ち込まれる。「韓国の民主化運動や現代アートなど、さまざまな世界に触れられます」
『素数たちの孤独』
パオロ・ジョルダーノ 著
飯田亮介 訳 (ハヤカワepi文庫)
絶望的なトラウマを抱えた少年と少女の出会いとその後を描く恋愛小説。「読んでいてつらいのですが、最後まで展開が気になって読んでしまう。切なくていい物語です」
『恐るべき緑』
ベンハミン・ラバトゥッツ 著
松本健二 訳 (エクス・リブリス)
チリの作家による、20世紀の科学史に着想を得た斬新なフィクション。「恐ろしいエピソードと美しいエピソードを繋ぎ合わせながら現代をあぶり出す、迫力ある作品」
『死体展覧会』
ハサン・ブラーシム 著
藤井 光 訳 (エクス・リブリス)
現代イラクの殺伐とした社会を寓話的に描いた短編集。「ある意味ユーモラスな作品があったり、アイロニーが効いている話があったりと、多様な作品を味わえます」
『詩集 牢屋の鼠』
劉 暁波 著 田島安江、
馬 麗 訳・編 (書肆侃侃房)
1989年の天安門事件をはじめ、中国の民主化運動で活躍した知識人、劉暁波の詩集。「彼がいい詩を書いていることはあまり日本で知られていないので、ぜひ読んでほしい」
『クロワッサン』1126号より
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