家族防災会議で決めるべき7つのルール。
イラストレーション・ながしまひろみ 文・黒澤 彩
年に一度の家族防災会議で確認、話し合っておくことは?
「災害時は誰だって慌てます。だからこそ段取り8割なんですよ」と説くのは山村武彦さん。子どもを含む家族それぞれが、いざという時にどうするのか、どこへ逃げるのかを理解し、実際に行動できるように、年に一度は「家族防災会議」を開いて、家族全員で話し合うことを提唱している。誰かの誕生日など、覚えやすい日にしておくといい。「人間は忘れやすい生き物ですから、一度や二度やっただけでは不充分。定期的に行うことが大切です」
防災会議で確認し合いたい、基本的な約束事は次の7つ。年に一度の習慣にすれば、その都度、生活環境の変化にも対応した備えができるはず。家族の恒例行事として定着させよう。
1.防災用品のありかを決める。
せっかく防災用品を用意していても、収納庫の奥にしまい込んでありかがわからなくては意味がない。在宅避難用の食料品やトイレ用品、充電器と電池、避難する時に家族分の非常用持ち出し袋がすぐに手に取れる状態で揃っているか確認を。また、備蓄品も足りているか定期的に点検する。家族全員がどこに何が入っているかわかっていることが大切。賞味期限をチェックし、食べたり補充したりするサイクルを作ろう。
2.避難ルートを 決めておく。
ハザードマップで避難所を確認し、家族みんなで家から避難所まで実際に歩いてみる「防災ピクニック」をしよう。災害の種類によって避難所が変わったり、危険箇所が異なることもふまえて、豪雨の時はここを通らないようにする、地震の後はここに近づかないなど、具体的にチェックしながら歩いてルールを共有する。自宅から避難所だけではなく、たとえば子どもの通学路や塾の帰り道なども想定して、生活圏を実際に歩いてみよう。
3.ぐらっときた時の行動を決める。
とても大切なルールの一つ。ルール化していないと、いざという時パニックになって適切な行動をとれない。緊急地震速報が鳴ったら、倒れるものが少ない玄関に行き、ドアを開けてストッパーで固定する。ドアが歪んで開かなくなると閉じ込められてしまうこともあるからだ。また家の中で、物が落下したり、倒れてこない安全な場所の確認を。いざという時は、ガラスや大きな家具のある場所を避けることも家族の共通認識にしよう。
4.連絡手段を決めておく。
いつもと同じ連絡手段が使えるかどうかは、その時にならないとわからないので、いくつかの連絡手段を理解し、家族内で優先順位を決めておこう。電話よりも比較的つながりやすいとされているのは「LINE」「X」などのSNSやSMS。また、災害時に提供される「災害用伝言ダイヤル(171)」も有効な連絡手段なので、体験利用ができる日(毎月1日と15日、正月三が日、防災週間など)に使ってみよう。
5.災害ごとの避難先を決める。
避難所は自治体が開設、運営することが義務づけられていて、学校、区民センターなど公共施設が避難所に指定されている。住居地別に避難所を定めている場合もあるので、事前に確認しておく。また、災害の種類によって、避難場所や避難所が異なることにも注意。火災や洪水などで緊急性が高い場合は、まず屋外の一時避難場所に逃げ、そこから指定避難所へ行く。どんな時にどこへ逃げるか、確認しておこう。
6.中継地点にする知人を決める。
災害後、被災地にいる人同士では携帯電話がつながりにくくなるが、被災地から離れた地域へは比較的つながりやすいという。そこで、遠方に住む知人や親戚を中継して、被災地にいる家族が連絡を取り合う「三角連絡法」が役に立つ。誰を中継点とするか、優先順位をつけて2〜3人決めておくといい。連絡を取る人には中継地点とさせてもらうことを事前にお願いし、家族全員が電話番号をメモにして持っておこう。
7.メモを残す場所を決める。
家族揃って避難できるとはかぎらず、電話やSNSで必ず連絡が取れるともかぎらない。アナログな連絡手段として、メモを残す可能性があることも家族内で認識しておこう。家にいる人が避難した後で誰かが帰ってくるとしたら、家のどの場所にメモを残すか決めておくと、帰宅して家族がおらず、連絡がつかない時でも慌てずにメモを見れば落ち合える。普段から、スマホを使わない連絡手段にも慣れておくことが大切。
『クロワッサン』1124号より
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