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「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」【青野尚子のアート散歩】

文・青野尚子

新潟の里山で開かれる現代美術の祭典へ。

2000年に始まり、今回で9回目になる「大地の芸術祭 越後妻有(えちごつまり)アートトリエンナーレ」。これまでの8回で設置されたアート作品に新作が加わってますますパワーアップしている。

「大地の芸術祭」の開催地は新潟県十日町市・津南町にまたがる広大なエリア。十日町駅近くにある〈越後妻有里山現代美術館 MonET〉を中核施設として、この芸術祭のために建てられてきた建物や廃校になってしまった小中学校の校舎、空き家、手入れされた里山や棚田にアートが現れる。

今回は100組のアーティストや建築家が新作または既存作品の新しい展開を見せる。2018年の「大地の芸術祭」で名勝「清津峡渓谷トンネル」をアート作品に変えてしまったMAD アーキテクツは伝統的な民家から半透明の大きな泡が飛び出したような作品を見せる。

「野辺の泡」マ・ヤンソン / MAD アーキテクツ
「野辺の泡」マ・ヤンソン / MAD アーキテクツ

中﨑透は地域に縁のある人や住んでいる人にインタビューし、そこから着想したものをライトボックスを使ったインスタレーションなどにしている。そのほかに第1回の芸術祭からかかわり、昨年亡くなったイリヤ・カバコフとエミリア・カバコフのインスタレーションが新しく公開されるなど、注目の作品が目白押しだ。

中﨑透《Clothing Fills in the Sky》「いちはらアート×ミックス2020+」展示風景 photo by Kato Ken
中﨑透《Clothing Fills in the Sky》「いちはらアート×ミックス2020+」展示風景 photo by Kato Ken

現地では「脱皮する家」などの〝アートの宿〞や、地元の人たちがもてなす特別なメニューなど、作品のほかにも楽しみがたくさんある。明日から目にするものが違って見える、そんな体験が待っている。

「脱皮する家」鞍掛純一+日本大学藝術学部彫刻コース有志 photo by Ishizuka Gentaro
「脱皮する家」鞍掛純一+日本大学藝術学部彫刻コース有志 photo by Ishizuka Gentaro

公式ガイドブックや効率よく回れるバスツアー、モデルコースも用意されている。マリーナ・アブラモヴィッチによる「夢の家」や、「越後まつだい里山食堂」など、宿や食も充実。

 「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」
7月13日(土)~11月10日(日)
●越後妻有地域
(新潟県十日町市、津南町)
新潟県十日町市・津南町 
TEL.025・761・7767
10時~17時(10月以降は〜16時。作品によって異なる場合あり) 火・水曜休 作品鑑賞パスポート一般4,500円ほか

  • 青野尚子 さん (あおの・なおこ)

    アート・建築関係のライター

    著書に『超絶技巧の西洋美術史』(池上英洋さんとの共著、新星出版社)など。

『クロワッサン』1121号より

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