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#02 本物の夫婦になるために大切な、
「温度差」の調節って?

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日常の小さな気付きから、社会問題まで。行政書士である筆者が、これまで相談を受けた経験と世の中の動きを元に、色々な視野を持つことで多様性を受け入れ、「夫婦を中心として人間関係を整える」ヒントを伝える連載コラムです。

 

マリッジデザイナーの湯原玲奈です。「婚活の人?」とよく聞かれますがちょっと違います。私は結婚した2人を本物の夫婦にするお手伝いをしています。こう伝えると「え、結婚したら夫婦になるんじゃないの?」と、みなさんの頭にはてなマークがたくさん浮かぶかもしれません。それこそが日本人の「結婚」に対する勘違いです。

婚姻届を出したら「これで夫婦だね♡」と、ウキウキした気分で思いますよね? 私も思いました(笑)。でも、本当は結婚しただけでは、夫婦にはなれないんですよ。結婚した後に、本物の夫婦になるためには、2人で新しく夫婦の形を作っていく必要があるんです。

こういう発信をしていると、「いつまでもラブラブな夫婦でいるなんて、無理だよねえ」とよくいわれます。例えば、ステキな夫婦代表が出演するとして長年にわたり不動の地位を築いている、某有名洗剤のコマーシャル。老夫婦が手を繋いで歩いている、あれですね。確かにいいですよね。私も憧れます。でも、みんながみんな、いつも手を繋いでルンルンできるわけありません。みんなそれを知っているから、「いいと思うけど無理だよねえ」と言うんですね。

 
LOVERS Photo : Miki @ DoubleVisionTokyo

LOVERS Photo : Miki @ DoubleVisionTokyo

 

成長による変化が、2人の間の温度差になって表れる。

そもそも、他人との人間関係なんて、突き詰めて考えたらめんどくさいんです。自分とは違うことを考えている他人と、何かを一緒にやろうと思ったら、「私が言ったこと、相手はどう思ったかな」とか「本当はやりたくないと思ってるんじゃないかな」とか「もしかして怒ってるのかも…!」なんて気が気じゃありません。

でも、会話のやりとりを続けて相手を知っていくうちに、理解できるようになり、だんだんと安心して発言したりできるようになる。いわば相手の体感温度を知ってちょっとずつ自分との間で温度調節しているんですね。こうして他人との間に心地よい人間関係が作られていくわけです。

しかし、人間関係は生き物と同じ。常に進化し続けます。だって、その発信源は人間という感情を持った生き物だから。周りの環境や経験を取りこみながら人が成長し続けていく以上、人間関係も常に変わっていくはず。だから最初に作った関係がそのまま継続するのは、とても難しいことだというのはわかりますよね。なのに、こと夫婦に関しては幻想でもあるのでしょうか。一つ屋根の下に暮らしているという感覚がそうさせるのか、結婚した後の変化にみんな鈍感すぎます。

この変化が、2人の間の温度差になって表れるんです。

この「温度差」、結構やっかいです。気付かないうちに大きく開いたりします。大事なのは温度の高さ、低さ、ではありません。差があまりないかどうかの方が重要です。それぞれが持つ基準に温度差が発生していると、必ずと言っていいほど2人の間にはモヤモヤが生まれますから。大事なことは、2人の間に温度差の少ない、オリジナルの関係性を双方が納得して作ること。他のカップルと比べたり、他人がどう思うかは関係ありません。

人とかかわる時に気にかけたい温度調節。夫婦という大事な関係だからこそ、「今の二人の温度差は大丈夫かな」と気にかけることが必要です。例の手を繋いだ老夫婦はきっと、腹が立つことやたくさんの大げんかを経て、こういう温度調節の波を乗り越えたからこそたどりつける姿、なのでしょうね。

連載バックナンバー
#01 多様性を受け入れ、夫婦を「共創」していくヒントとは。
https://croissant-online.jp/column/marriagenote/40955/

【バナーのハート作品】©️ Koichi Nishimura  https://www.facebook.com/koichi.nishimura

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