【後編】シンプルライフ研究家マキさん。新居でさらに「ものを持たない」生活を実践。
撮影・青木和義
マキさんが引っ越したマンションには、なんと備え付けの収納がほとんどない。以前の家で、少ないもの、小さい部屋でも暮らせる自信がついたため、気に入ったこの物件に引っ越すことに迷いはなかったという。
「書類や日用品のストック、靴などを入れるチェストを2つ買い足しただけで、収納は問題ありませんでした。住まいは、その時々の家族の変化で住み替えていけばいいと思っているんです。まだ子どもが小さい今、戸建てや3LDKに住むという選択肢は外しました。ここは4人暮らしには少し狭いかもしれませんが、〝持たない〟暮らしをしている自分たちには充分。身の丈に合った家に住むことで、家賃の余分なコストが抑えられます」
日用品や洋服は定番を決めておくというマキさん流のシンプルライフのルールは今も健在。ティッシュやスポンジ、洗剤などは気に入ったものを買い続け、洋服も制服のように、シーズンごとに2コーディネートを決めておく。こうすることで迷う時間を省き、また衝動買いを防ぐこともできる。
「日用品はその時の最安値を買う、みたいな方法で失敗してきたので(笑)。自分の使いやすいものを買い続けるほうが精神的にも安定するし、出費や在庫も管理しやすい。洋服も、質が良く心から気に入ったものを買って1シーズン着倒すと満足度が高いんです」
また、用途が限られているわりに管理の手間がかかるものは持たない。
「キッチンマットやお風呂上がりの足拭きマットは、清潔に保つには頻繁に洗わないといけないので、基本、持ちません。キッチンの床は汚れたら拭けばいいし、洗面所の足拭きマットの代わりに、手拭き用タオルを1日の終わりに風呂場の外に置きます。トイレブラシも必要性を感じないので、1週間使い切った食器洗いスポンジで代用。専用のものを持たず、手持ちのもので代用することで、管理する手間、ストレス、引いてはコストを省けます」
家事の時短と家計の無駄の解消により、時間にもお金にも余裕が出てきたことで、暮らしにも変化が。
「もともと好きだったシロップや自家製調味料作りなど食まわりの手仕事に加えて、最近ではジム通いや空き時間のジョギングなど、自分の体のメンテナンスにまで時間を使えるようになりました。また、以前は管理する手間を惜しんで避けていた植物を飾る余裕もできて、生活に彩りが加わりました」
仕事と子育て、家事をこなしながら、自分の時間も楽しむ余裕が生まれた。
“ものを持たない”マキさんの暮らしは、ますます豊かになっていく。
『クロワッサン』942号より
●マキさん シンプルライフ研究家/東京都在住。広告代理店勤務。4歳と8歳の娘、夫の4人暮らし。著書に『家事は、すぐやる!』(ワニブックス)など。