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お金の不安を解消! 攻めるお金、守るお金を
賢く使い分ける方法。前編

お金についてこれまで真剣に考えたことがないという、お笑いコンビ・北陽の二人。40代の二人が読者を代表して、友人にもなかなか相談できない、自分たちの胸の内と懐事情を家計再生コンサルタントの横山光昭さんに相談。将来的なお金の不安をどう解消するか、前編後編に分けて紹介します。

虻川美穂子さん(以下、虻川) うちは、夫も料理人で景気や時期に左右されるので、いつ収入がなくなるかわからない不安が常にある。子どもはまだ1歳でこれからお金がかかるのは確実だし。私たちが健康なうちになんとかしなければと思いながらも、何をしたらいいかわからないのが現状です。

伊藤さおりさん(以下、伊藤) うちも同じく。でもサラリーマンだって、突然何があるかなんてわからないよね。

横山光昭さん(以下、横山) お二人は、老後にどれくらいお金が必要か、考えたことはありますか? 総務省のデータから算出すると、65歳の夫婦二人の貯蓄理想額は、2000万〜3000万円、となります。

虻川 ひええええ!!そんなに?

横山 はい。総務省のデータを見るとまず年金の支給額平均は1カ月約21万円。それに対し生活費が1カ月平均で約27万円かかると出ています。差額のマイナス6万円×12カ月分、それを寿命90歳として25年分計算すると1800万円。それに加えて医療費や介護費、家のリフォーム代やホームの入居代金など、不測の事態にかかってくるお金を足すと、先ほどの額になるというわけ。

伊藤 でも、私たち自営業者は、年金額がさらに少ないのでは……?

横山 そのとおりです。データでは、毎月一人6万円強の支給と想定されます。

虻川 ショック。私が払った年金分を回収するのに、一体何年かかるのか!

横山 夫婦二人とも自営業で国民年金だった場合、65歳のときに5000万の貯蓄が必要、というデータもあります。まあ、80歳でも北陽として活躍されていればまた違いますが(笑)。

虻川 いやいや〜。需要と供給の世界ですから、数年先だってわかりません。

伊藤 でも、3000万円とか5000万円なんて、一般的に見ても、貯蓄するのには無理がありませんか?

横山 もちろんライフスタイルはそれぞれですし、いくら必要かは各家庭によって違ってきます。

虻川 高額な貯蓄が必要と聞いてびっくりしちゃって、何から手をつけていいかわからなくなりました。

横山 まず手をつけていただきたいのは、今の家計をしっかり把握すること。収入と支出の流れを知れば、将来的に必要な生活費も想定できますよね。その上で、老後に年金などの収入がどれくらい見込めるのか。すると今後いくら貯蓄すべきかが見えてきます。

虻川 どうしよう……。家計簿なんてつけたこともないです。

横山 全部でなく、この品目は無駄遣いをしていそうだな、と思えるジャンルに絞ってつけてみるだけでも、お金の流れが見えます。また、夫婦別財布にしている人も、夫の収入の数字だけは把握して、今後の貯蓄についてしっかり話し合うことが必要です。

伊藤 一人で家計簿をつけるって考えると面倒だけど、夫婦でだったら作戦会議みたいで楽しいかもよ。

虻川 うちはお互い忙しすぎて、そんな時間を取れないです。夫は勝手にネットで買い物してたりするし、そもそも収入も月によって波がありすぎて。

横山 収入が高いときの生活レベルに慣れてしまうと、後々大変ですよ。

虻川 夫はそんなタイプ。下がったら下がったでなんとかなるって。

伊藤 男らしいじゃん(笑)。

虻川 現実感全くないでしょ~。将来のことなんて全然考えてないのよ!

貯金しても増えない時代、現実的な運用を視野に入れて。

横山 ただ将来の不安に駆られているだけでは、お金の使い方を間違ってしまうことが多いです。

伊藤 どういう意味ですか?

横山 例えば保険。お金に安心を求めてしまい、保険会社が勧めるものを鵜呑みにしてかけている人が多いですね。

伊藤 確かに。保険は必ずしも入らなくてもいいと聞いたことがあります。

横山 そうですね。貯蓄があれば充分だという人もいますし、日本の場合は高額療養費制度があるので、支払額はだいぶ抑えられます。もちろん、がんなどでの保険外治療費は別ですが。私は医療保険には入らず、子どものために、いざというときの死亡保険だけ加入しています。毎月保険にかけているお金と、実際必要な額を鑑みて、本当に意味があるか、考えてみてほしいです。

伊藤 保険もよく吟味して必要なものを選ぶべき、ってことですね。

横山 安倍政権は、世の中をインフレにさせようとしているのです。デフレのときはお金の価値が高かったんですが、インフレは物価が上がるから、結果的にお金の価値が下がるんです。

伊藤 お金の価値が下がる!? そんなこと、意識したこともなかった。

虻川 確かに、昭和と比べても物価は全然違うし、大好きなアイスのガリガリ君も値上がりしましたしね(笑)。

横山 マイナス金利は、銀行や保険の運用が苦しくなる。だから手数料ビジネスに関して、我々消費者にもっと営業攻勢をかけてくるはずです。お金のある人から手数料を取って、ない人には借金させて金利を取る……。

虻川 悪魔みたいに聞こえる(笑)。

横山 でもそれがマネービジネスの基本ですよ(笑)。この先、100万円の価値がどれくらいになるかわからない。なのに、長くかけていないとお金が戻らない保険は、うまみがないと私は思います。お金の価値も制度も変わるかもしれないのが現実。大切なのは、今あるお金をどう運用するか、です。

伊藤 資産運用ってことですか?

虻川 言葉からしてハードル高い!

横山 そんなに難しく考えなくて大丈夫。誰でもできる、節約ややりくりの一つの手段ですよ。貯蓄をベースにして、プラスα増やすことを考える。そもそも、今は銀行に預けておくだけで、お金が勝手に増えていく時代ではありません。金利はつかないも同然ですし、物価が上がっていくんですから、放っておけば貯金は目減りするということ。お金には、攻めと守りが必要なんです。

伊藤 守りが貯蓄で攻めが運用、ですね。全額で攻めてはいけませんよね?

横山 不測の事態があっても復活できる金額として、目安として年収の半分ぐらいはキープしておきたいところ。さらに生活費も確保して、運用に回すのは、それ以外の余力分が目安です。

伊藤 でも私、運用しようなんて発想が、そもそもなかったんですけど。

横山 それは知識がなかっただけです。極端な話、足し算だけして老後のお金が充分作れるなら、運用しなくてもいい。でも、ほとんどの人ができないのだから、掛け算で増やしていかないと。

伊藤 運用の必要性はわかりましたが、株などは浮き沈みが激しそうで、知識がないまま手を出すのは怖いです。

虻川 そう、イチかバチか感がある。

横山 個別の株を買う場合の話ですね。それはもちろんリスクが高いです。ハイリスク・ハイリターン、ですから。過去にも東京電力など、かつての大企業の株が、紙くず同然になってしまったことが。一般の方にはNISAや「日経225」などがオススメですね。

ーーー「資産運用は気軽にやっていい!?」と驚く北陽のお二人に対し、「投資はやりくりや節約の一部。必要以上におそれることはありません」と横山さん。後編では横山さんがお勧めする資産運用の方法を具体的に解説します。

『クロワッサン』928号(2016年7月10日号)より

●虻川美穂子さん・タレント/お笑いコンビ・北陽のボケ担当。イタリア料理店のオーナーシェフである夫と、テレビで共演する機会も多々

●伊藤さおりさん・タレント/お笑いコンビ・北陽のツッコミ担当。虻川さんとの共著に『北陽の〝母ちゃん業〞まっしぐら!』(主婦の友社)が。

●横山光昭さん・家計再生コンサルタント/「マイエフピー」代表。これまで1万件近い家庭の収支改善の相談を受ける。『老後貧乏はイヤ! 貯められない家計の治し方』(日本経済新聞出版社)など著書多数。

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