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51歳でワインの造り手──田岡恵さん(55歳)“自分へのご褒美に、人生第二章は憧れの景色へ”

もう遅い、なんて思い込み。夢を叶えるのは大人になってから。──年齢を言い訳にせず、自分の思いに正直に一歩踏み出した人。人生で実現した、「本当にやりたかったこと」をじっくり聞きました。

撮影・衛藤キヨコ 文・保手濱奈美

51歳でワインの造り手──田岡恵さん(55歳)“自分へのご褒美に、人生第二章は憧れの景色へ”

田岡恵さんが「ワインの造り手になる」と決意したのは49歳の頃。それまでのキャリアは、日本やアメリカ、イギリスでの企業会計職や、東京の大手ビジネススクールの講師と、ワイン造りとは無縁の世界。知識ゼロからのスタートに踏み出した。

「きっかけは、42歳の時のニュージーランド旅行。宿のオーナー夫妻がB&B兼ヴィンヤード(ワイン用のブドウ畑)を経営されていて、その景色が素晴らしく、『私も自然に囲まれて暮らしたい』と漠然と憧れを抱くようになりました。そして49歳になり、一般的には人生折り返しのタイミングに。振り返ると、失敗も多いが公私で様々なことをそれなりに達成できたし、女一人でよくここまで頑張ってこられたと素直に思えたのです。そんな充実した半生にいったんピリオドを打って、第二章は冒険をしようと。ずっと心の片隅にあったブドウ畑の景色がある暮らしを実現するなら、今だと思いました」

そう思い立った4カ月後には、醸造家を目指して「千曲川ワインアカデミー」に入学。1年間、ブドウの栽培や醸造などワイン造りを学び、のちに公私ともにパートナーとなる鎌倉宏吉さんと出会いを果たした。

「彼が父親から引き継いだ長野県原村の畑で、一緒にブドウの栽培を始めました。私が51歳、彼が55歳の頃です。苗木も順調に育ち、栽培と醸造を手掛けた初のワインが今年出荷を迎えます。自然相手なのでリスクはありますが、美しい景色とワイン、そしてパートナーとの穏やかな生活は何物にも代えられません。思い切って決断して本当によかった!」

パートナーの鎌倉さんと。田岡さんはリモートで大学の教員を続けながら、ワイン造りを行う。「ワインで収入を得るにはまだ時間がかかるので。夢を叶えるためには経済的な安心材料も必要です」 (c)ミズカイケイコ
パートナーの鎌倉さんと。田岡さんはリモートで大学の教員を続けながら、ワイン造りを行う。「ワインで収入を得るにはまだ時間がかかるので。夢を叶えるためには経済的な安心材料も必要です」 (c)ミズカイケイコ
1.2ヘクタールの圃場で約3000本のブドウの樹を栽培。今年、自身のワインブランド『ドュ・ヴィニュロン(ふたりのワイン生産者の意味)』がデビューする
1.2ヘクタールの圃場で約3000本のブドウの樹を栽培。今年、自身のワインブランド『ドュ・ヴィニュロン(ふたりのワイン生産者の意味)』がデビューする

田岡さんの人生の転機

20代後半〜30代前半
イギリスとアメリカにて、企業会計の専門職としてキャリアを築く。

30代後半〜
帰国し、MBAを取得。ビジネススクールの講師を務める。

42歳
ニュージーランドで、家族経営のB&B兼ヴィンヤードに宿泊し、醸造家に憧れを抱く。

49歳
講師をしながら大学院で経営学の博士課程に進学が決まるが入学前に「残りの人生の過ごし方」に悩む。大学院への入学と同時に、千曲川ワインアカデミーに入学。

51歳
醸造家に転身した鎌倉さんとブドウの栽培を始める。

『クロワッサン』1158号より

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