折原みとさんの〈第三の居場所〉は「ご近所さん」──ご近所との節度あるつきあいはおひとりさまの暮らしを豊かに
撮影・市原慶子 文・長谷川未緒
「子どもの頃から知らない人と平気で話せるタイプ。心のハードルが低いんです」と朗らかに語るのは、昨年、画業40周年を迎えた折原みとさん。33歳のときに犬と暮らしたいと東京から神奈川・逗子に移住した際も、すぐにご近所さんと親しくなった。きっかけは犬の散歩。「次第に親しくなり、そこから人を紹介してもらって交友関係が広がりました。あとは理事会活動ですね。面倒くさがらずに引き受けると、知り合いが増えていきます。仕事だからやらざるを得ないので、人見知りの方にもおすすめですよ。ご近所づきあいは面倒という方もいますが、私の場合はおひとりさまなので、周りとの交流がなかったら、やっぱり寂しいと思います」
このエリアは防災意識が高く、折原さんも数年前に防災士の資格を取得。防災の点からも、近所づきあいというサードプレイスは重要だと気づいた。
「阪神淡路大震災のとき、倒壊した家にいた人を助け出したのは6割が家族、3割が友人・隣人だったそう。そういうときのためにも、ふだんから親しく、周りとおつきあいすることは必要だと思いました」
誘ったり誘われたりして、バドミントンや短歌、お琴など、新しい趣味も見つけられた。ご近所の枠を超え仲良しといっていい関係の中で、大切にしていることは“親しき仲にも礼儀あり”だ。
「ベタベタせず、お互いを尊重し合い、いただきものをしたらお返しをするなど、何かしてもらうばかりではなく、お互いさま。そういうことができる人たちが集まっている場所ですね」
ある日の集まりにお邪魔しました
自主防災組織を中心に地域のイベントへの参加や習いごと、朗読会など、さまざまな活動をともに行う“ご近所さん”というサードプレイス。折原さん宅で話を聞いた。
小泉さん サマーパーティーや、年末年始のお餅つきなど、このエリアは有志の活動が多いんです。そこで知り合うことも多いです。私はいつもくっついているのは苦手だけど、ここではお互い無理せずちょうどいい距離でおつきあいできているのがいいのかもしれませんね。
山科さん 私は7〜8年前に越してきました。みとさんがバラの季節にホームパーティーに呼んでくれたことで、みなさんと仲良くなれたんです。花火を我が家で見てもらったりと、家が2軒あるような感じで楽しいですよ。
會田さん 友人とは適度な距離感を大切にしています。日常の生活においても、横のつながりがあることは心強いかぎりです。子育てが終わり、やっと自分のために使える時間ができました。今年はみんなでバドミントンに挑戦したりと、新たな世界が開け、第2の青春を楽しんでいる感じです。
折原さん こうやって続く理由は、お互いに、あまり個人の事情に深入りしないからですよね。基本、悩みなどは、相談されるまで聞いたりはしません。
市野さん みんな大人ですから、もめごとや、いわゆるマウントの取り合いはせず、お互いに敬意を持って接しています。結果、居心地がいいのかなと。私たち、集まるときは、目的がありますよね。ただお茶しておしゃべりするためだけには集まりません。
折原さん いろいろな習いごとを一緒にしていますが、全部同じメンバーなわけではなく、けっこう入れ替わりもあります。気が合わなければやめればいいというくらいに、気楽に参加することで、交友関係が広がると思います。
『クロワッサン』1158号より
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