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ファイナンシャルプランナー・深田晶恵さんが伝える、物価高をのりきる「新時代の節約術」

円安はいっこうに解消される気配もなく、いまだコメの価格や電気代も高いまま……。暗雲垂れこめるニュースばかりだけれど、怯えて立ち止まっているだけではダメ。家計を守るために「やれることは全部やる」。そのマインドチェンジと工夫が必要な時代、自分に合った節約術が突破口になるはずです。

イラストレーション・千海博美 文・小沢緑子

ファイナンシャルプランナー・深田晶恵さんが伝える、物価高をのりきる「新時代の節約術」

誰もが今感じているだろう、お金にまつわるニュースへのモヤモヤ。物価の高止まりをはじめ、なかなか先が見えないことに「今のお金の使い方や節約の仕方でいいのだろうか」と、不安に思う人は多いはず。

「長年いろいろな家計相談を受けてきましたが、同じお金の節約でも今は10年前より“さらに先を見据えてアップデート”していく『新時代』に入ったと言っていいと思います」と、ファイナンシャルプランナー歴30年目の深田晶恵さん。

お金との付き合い方を今こそ見直して備えよう

特に50代は要注意という。

「右肩上がりのバブルの時代を知っているせいか、今の50代は他の世代と比べて“消費好き”の傾向にあることを感じます。60代以降の収入が大幅に減る“リタイア後の生活”も考えなくてはいけない年代でもあるので、お金との付き合い方を見直すタイミングだと思います」

また、今後の節約新時代を乗り切るためには、なるべく老後資金を切り崩さないよう、「リタイア後も細く長く働き続ける」ことも選択肢に。

「既婚でも独身でも老後の不安を少しでも解消するために確実なのは、60代以降も働く策。1カ月に生活費を3万円、5万円と節約するのは大変なこと。同じ額を働いて得るほうが現実的です。お金=この先の人生や働き方を考えることでもあるのです」

さらに深田さんはこう続ける。

「私はお金の不安=お化け屋敷にたとえていますが、お化け屋敷が怖いのは真っ暗な中で『どこで』『どんなお化け』に驚かされるかわからないから。でも、『あの先にこんなお化けがいる』と聞いたら心構えができて、怖くない。お金も同じ。事前に情報を得て対処法も準備しておけば、不安は軽減されるはずです」

気になるお金に関するトピックスも解説してもらったので参考に。さまざまな選択肢を念頭に、「節約新時代」について策を練ろう。

物価の高止まり

見えにくかったムダを見直す機会にしよう

コメの価格高騰、公共料金値上げと、まだまだ先が見えない物価高の流れ……。

「今の物価高は10円や50円安いものを買う節約法では追いつきません。厳しい時代ですが、逆転の発想で“お金の使い方を見直すよい機会”ととらえましょう」

節約の王道・スマホの料金プランの見直しで大幅に「通信費」をカットするのはもちろん、「一番難しいですが、この際、食費や日用品の『変動費』も見直しを。私の場合、一番効果があったのは“見える化”」。

買い物は冷蔵庫の在庫を書き出して足りない分だけ。公共料金は過去5年分の月々の料金が比較できるよう、一覧表に。

「見えにくかったムダに改めて気づき、節約に。できることから手をつけましょう」

株価の乱高下

背景に関心をもち、知る=財産と心得て

米国のトランプ大統領による関税政策の影響で株価が乱高下したことがあったが、「『このまま下がったらどうしよう』と不安だった人もいると思います。ただ、大暴落しても焦って売る『狼狽売り』は、投資では絶対してはいけないこと。景気はいいときもあれば悪いときもあり、『株式市場が好調になるまで待つ』のが鉄則です」。

さらに株価の乱高下が起きたら、その背景や影響を与えたものを知ることが大事。「知る=財産です。そのためにも日々のニュースに関心を。断片的にではなく、自分が信頼できると思うTVや新聞などから『いつ』『何が』『なぜ』『どのように』起きたかを体系づけて知ることがポイント。お金の知識も自然に増えていきます」

年金制度改革

遺族厚生年金の見直しもチェック

今年国会で成立した年金制度改革。そのひとつが前述した「年収の壁見直し」だが、ほかにも知っておきたい改正がある。

「50代がチェックしておきたいのが『遺族厚生年金』の見直しです」

厚生年金加入者が亡くなった際、配偶者に支給される厚生年金が原則5年の有期給付になる。「実はこの改正はいくつか誤解があります。5年有期の対象は60歳未満で、60歳以降に死別した場合はこれまでどおり終身受け取りです。さらに、2028年から20年かけて段階的に実施するため、施行時点で40歳以上の人は影響を受けません。また加入者だった妻と死別した夫にも給付されるようになり、男女差が解消。時代に即した面があることも知っておいて」

年収の壁見直し

収入と社会保障の両方を手に入れやすくなる

パートなどで働く人が、手取り収入が減らないように働く時間を調整することを指す言葉が“年収の壁”。

「従業員51人以上の会社で週20時間以上働く場合、年収が106万円を超えると社会保険(厚生年金と健康保険)に加入する必要がありますが、数年以内に年収106万円と会社規模の要件がなくなります。社会保険に入ると保険料が発生するので今より手取りが減るケースがありますが、一定の分岐点(年収125万円)以上働くと手取りは回復し、その後は順調に増えていきます」

さらに将来の年金が増え、社会保険給付金受給の利点もあり、「収入と社会保障の両方が得られるチャンスだと思います」。

  • 深田晶恵 さん (ふかた・あきえ)

    ファイナンシャルプランナー

    「生活設計塾クルー」取締役。個人向けのコンサルティングほか、セミナー、メディア出演も。著書に『知識ゼロの私でも! 日本一わかりやすいお金の教科書』など。

『クロワッサン』1146号より

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