代表的な腰の病気で、腰の椎間板の髄核(ヘルニア)が本来位置するべき場所からはみ出し、周囲の神経を圧迫することで痛みが生じます。
椎間板ヘルニアの症状が現れるのは椎間板の強度が下がり始める30~40代くらいからで、重い荷物を持つなど、腰に無理な負担をかけたことをきっかけに発症するケースが多くあります。
主な症状としては、腰やお尻、足の激しい痛みやしびれが挙げられます。また、坐骨神経痛の症状を伴う場合が多く、腰よりも足に痛みやしびれが出やすいのが特徴です。神経に障害がない場合は、痛みが出ないこともあります。
椎間板ヘルニアには、はみ出した髄核が圧迫する箇所によって「神経根型」と「馬尾型」の2タイプに分けることができます。
神経根型は症状が進行しづらいのに対し、馬尾型は悪化しやすく脊柱管狭窄症に移行する可能性があり、トイレがしづらくなる排尿・排便障害を伴う場合は、手術が必要になることもあります。
そのため、尿が出にくい、または肛門周辺にしびれなどの症状がある場合は馬尾型の可能性を疑い、早急に整形外科を受診するようにしましょう。症状を放置して処置が遅れると、手術をしても後遺症が残ることもあります。
ただし、早急な手術が必要なほど重度のケースは比較的少なく、多くの場合は6か月もたてば自然治癒するため、保存的療法をとるのが一般的です。
なるべく腰に負担をかけず、正しい姿勢や適度な運動などセルフケアを怠らない一方で、薬物療法、コルセットの装着、温熱療法、または神経ブロック注射などを行いながら経過を観察します。
3か月ほど保存的療法を続けても効果が見られない場合や、一度症状が治まっても短期間で再発する場合は、詳しい検査を行い、髄核を取り除く手術の検討が必要となります。
【椎間板ヘルニアの構造】