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客席と舞台上の“温度差”を解説します。│柳家三三「きょうも落語日和」

  • イラストレーション・勝田 文

だいぶ暑い日が増えてきましたね。夏本番はまだまだ先だというのにこの調子では、今年も猛暑が心配です。

そんな時期でも現代の落語会の会場は、きちんと冷房が効いて、ある程度の快適さでお楽しみいただけるところがほとんどです。とはいえ、この体感は個人差が大きいのも事実で、かくいう私は冷房の風がとても苦手。観客の立場として芝居や音楽会に行くと、夏場は「こんなに冷やさなくてもいいのに」と思いながら、襟巻きや上着を欠かさないようにしております。そんな時でも隣に腕はおろか、肩まであらわな細身のご婦人が座っていたりすると「大丈夫ですか~?」と心配になりますが、大丈夫だからこの服装なんだよな、と思い直して自分の防寒にいそしむのでありました。

さて、客席の温度設定と少々事情の異なるのが舞台上。演者としての私は一転、暑さ……どうかすると“熱さ”と戦うことになります。というのは舞台上の演者には、たくさんの照明があたっておりまして、この熱量が馬鹿にならないのです。暑いからといって照明を暗くすれば、お客さまからは見にくくなり、明るいまま涼しくなるほど冷房を効かせれば、客席が冷蔵庫と化してしまいます。結局は落語家が暑いのを我慢しておしゃべりするのがお客さまの快適な落語日和への近道。そのかわり夏物への着物の衣替えは、世間より一、二ヶ月早くなってます。本音を言えば冬でも夏の着物で演じたい会場もあるくらいなんですよ。ちなみに過去もっとも過酷だった会場は、真夏にぴたりと締め切った、空調のない土蔵での一席。いやマジで死ぬかと思いましたよ、私もお客さまも。

柳家三三(やなぎや・さんざ)●落語家。公演情報等は下記にて。
http://www.yanagiya-sanza.com

『クロワッサン』1000号より

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