「額」だけにフォーカスした、ちょっと珍しいインテリア特集。ふだんから額を飾って楽しんでいる読者宅のリポートを交え、額のある暮らしの魅力を伝えています。
締めくくりには、額使いの達人たちが選び方や飾り方などを指南。オーダー専門の額縁屋さんの<壁の色が濃かったら淡い色の額、白っぽかったら、少し濃い目をもってくる>といった実用的なアドバイスと並び、ハッとさせられたのがアンティーク店の主人が語った言葉です。
<額の中って、結局、何を入れてもいいわけですよね。雑誌の1ページだろうが、プリントの布地のきれはしだろうが、自分でいいと思えばいいんです。口の悪い友達が何といったって、額なんて心のぜいたくをする部分なんだからね>
いざ額に入れて飾るとなると、「ちゃんとしたものを」とかまえがちですが、そうではないということ。この言葉を読んで私が思い出したのは、陶芸家の河井寛次郎が身近に飾っていたという額。電車の連結部分を真上から撮影した新聞広告を額装したもので、インパクトのある造形は、河井の木彫り作品と呼応していました。
なんであろうと、自分にとって強く心を惹かれるものを額に入れ、日々眺める。アンティーク店の主人が語ったように、それこそ我が家ならではのとびきりの贅沢というものでしょう。
※肩書きは雑誌掲載時のものです。