広々とした細川家のリビングには、存在感のある木の器が置かれていた。そのうちのひとつが、プーリア州の器と並べて、前菜の塩味のビスケットを盛り付けた鉢だ。木をくり出して成形する沖縄の藤本健さんの作品で、自然な木の形や木目、肌合い、色などをそのまま生かすのが特徴。凸凹や穴などもそのままに、樹木の印象を残したプリミティブな雰囲気をたたえている。
「好きでよく使う木の器は、しまわずに出しておきます。そのほうがまめに手に取れるし、乾燥もさせられるので。なにも入れずそのままポンと置いておくこともあるし、拾い集めた石を入れてみることも。食器としても、焼き物の器の中にひとつ入ってくると、ほっとするんですよ」