帰省シーズンだから考えたい2いまから始める相続対策。〜節税対策編〜 | トピックス | クロワッサン オンライン
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帰省シーズンだから考えたい2
いまから始める相続対策。〜節税対策編〜

「相続」は相続税を払う、払わないにかかわらず、誰もが避けて通れない問題です。スムーズな相続の秘訣を税理士・ファイナンシャルプランナー(CFP)の中島典子さんに聞きます。

相続税はかかる? かからない? ざっくり把握。

さて、前回で算出した正味財産(https://croissant-online.jp/?p=46643&preview=true)が、相続税がかかってくる「課税価格の合計」①となる。この金額から相続税の基礎控除額「3000万+600万×法定相続人数」②を引く。そして算出された金額が課税遺産総額③となる。

「課税遺産総額がマイナスの場合、相続税はかかりませんが、プラスの場合は相続税がかかってきます。ここまでのプロセスでも充分、家庭の現状は把握できるかと思います」

納付する相続税の金額を出すには、このあと2つのステップを踏む。の相続税の計算例を参照してほしい。まず法定相続分どおりに相続をしたとして、相続税の総額を計算する。次に実際に相続した割合に応じて、各相続人の最終的な納税額をそれぞれ計算するのだ。

「実際の相続税の計算はもっと複雑です。でも、このページで〝相続税がかかる〟と出た方に一番にやっていただきたいのは、納税方法をどうするか考えることです」

納税対策は万全だろうか?その資金があるのか確認を

税金がかかるのであれば、前もって資金を用意しておかなければならない。

「親の現金、預貯金がふんだんにあるのであれば問題ないでしょう。でもそうでない場合は自分の蓄えを充てることにもなりかねません。現金、預貯金のほか有価証券や保険等で税金を支払えるのか、考えておきましょう。相続税は『相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内』に申告書を提出し、現金で一括して支払うことになっています。相続税は金額も大きいので、一度に全額を支払うのは大変。〝延納〟や〝物納〟という制度も設けられていますが、もし支払いが一日でも遅れた場合、原則として延滞税が課されるということも覚えておきましょう」

そして考えておきたい、財産の分割対策。

 納税方法と共に考えておきたいのが、財産の分割方法だ。

「不動産、金融資産を家族でどのように分けるのか考えておかねばなりません。一番もめるのは〝相続する財産が家のみ〞という場合です。親が住んでいた家を売却、という選択肢が当然出てくるかと思いますが、これは兄弟全員の同意がないとできないことです。だからといって兄弟の共有名義で家を残しておくというのも、もめごとにつながります。人が住まなくなると家がいたむのは非常に早い。固定資産税だけでなく家の維持管理費、修繕費、これを兄弟で割って払い続けていくというのは大変な作業です。家は残すのか残さないのか、兄弟のうち誰か住むのであれば誰が住むのか。財産の分割に関しては〝相続税はかからない〟方にもぜひ、イメージを始めていただきたいと思います」

節税対策には贈与を上手に使おう。

生前贈与は、あげたい相手にあげたい財産を確実に残せる。

「生前贈与とは、生きているうちに財産を子や孫に渡しておくことです。相続財産が減りますから、相続税に関しては節税効果が非常に高いです。より多くの財産を残すことも可能です」

暦年贈与は贈与税の原則的な課税方法。ひとりがその年1月1日から12月31日までの1年間にすべての人から受けた贈与を合計し贈与税を計算する。

「暦年課税の大きな利点は『年間110万円の基礎控除があること』です。年間の贈与の合計額が110万円以下であれば税金がかからないので、贈与税の申告はいりません。こつこつと資産を残すには暦年贈与が有効です。もらった側は何に使ってもよいので、私は『なんでも贈与』と呼んでいます」

このほか、祖父母や父母から30歳未満の子や孫に教育資金を贈与した場合、贈与を受ける人ひとりにつき、最大1500万円まで非課税になる制度や、20歳以上50歳未満の人が、祖父母や父母から結婚・子育て資金の援助を受ける場合に最大1000万円まで非課税になる制度がある。

「また贈与税の配偶者控除として、結婚して20年以上の配偶者に居住用不動産を贈与する時、最高2000万(暦年贈与の110万の基礎控除と合わせて2110万)までなら贈与税がかからない制度や、20歳以上の子や孫が、父母や祖父母(直系尊属)などから住宅購入資金の援助を受けた場合は最大1200万までは非課税になる制度もあります。マイホームの頭金を援助してほしい時などに活用するのがいいですね」

相続時精算課税といって、相続税と贈与税を一体のものと考え、相続まで贈与税の支払いを先延ばしできる制度もある。これは60歳以上の親・祖父母から20歳以上の子・孫へ贈与する場合に、2500万円までは贈与税がかからない制度だ。2500万円を超える場合には、超えた金額に20%の贈与税がかかる。そして特定の贈与者から受けたすべての贈与をその贈与者の相続財産に加算して相続税を計算し、その相続税からすでに支払った贈与税を差し引く。

「このように贈与は相続税対策として有効な手段であるとともに、子や孫が本当にお金が必要な時に役立ってくれる資金でもあるのです。子どもから親に『贈与分としてお金が欲しい』とはなかなか言い出しにくいと思いますが、何十年もたって相続でお金をもらうよりも、一番必要な時にお願いするほうがいい。そのほうが、〝生きたお金〟になりますから」

ただし贈与は老後の生活資金をキープした上で、無理ない範囲で。

贈与に関して気をつけないといけないのは、贈与をする側が自分たちの老後資金をきちんと確保できているかどうかということだ。

「孫のためにと1500万贈与して、そのあと自分たちの生活が苦しくなっては困ります。今は、老後こそが長いんです。親は自分たちの老後の生活資金、医療にかかるお金、そして介護にかかるお金のことも考えてから贈与しないと危険ですね。超高齢化社会です。お金は後々まで必要だという認識を忘れずに、〝お金を生かすための贈与〟を心がけてほしいと思います」

『クロワッサン』928号(2016年7月10日号)より

●中島典子さん・税理士、ファイナンシャル・プランナー(CFP®)/広尾麻布相続センター代表。社会保険労務士でもある。共著本に『いまからはじめる相続対策』。

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