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原田知世さんインタビュー「その時」のきらめきを大切に、
演じるように歌うラブ・ソング集。

原田知世(はらだ・ともよ)さん。長崎市出身。1983年、オーディションで5万7000人の中から選ばれ『時をかける少女』で主演デビュー。女優としてのみならず、歌手としてもコンスタントにアルバムを発表。1990年以降、鈴木慶一、トーレ・ヨハンソンを迎えてのアルバム制作、2007年からは伊藤ゴローをプロデューサーに迎えてのアルバム制作、ツアーに取り組む。ヘア&メイク・小林雄美 スタイリスト・鈴木えりこ ブラウス(ジャーナル スタンダード ラックス 渋谷店TEL03・5457・0844)
原田知世(はらだ・ともよ)さん。長崎市出身。1983年、オーディションで5万7000人の中から選ばれ『時をかける少女』で主演デビュー。女優としてのみならず、歌手としてもコンスタントにアルバムを発表。1990年以降、鈴木慶一、トーレ・ヨハンソンを迎えてのアルバム制作、2007年からは伊藤ゴローをプロデューサーに迎えてのアルバム制作、ツアーに取り組む。オフィシャルHP http://haradatomoyo.com/ ヘア&メイク・小林雄美 スタイリスト・鈴木えりこ ブラウス(ジャーナル スタンダード ラックス 渋谷店TEL03・5457・0844)
 

ラブソングのカバーアルバム『恋愛小説2〜若葉のころ』をリリースした原田知世さん。故郷の長崎時代から、映画のオーディションに合格して東京に出てきた1970年代半ばから1980年代前半にかけて流行したポップスと歌謡曲を歌っている。アルバムに収めた曲の思い出や、女性としての今、そしてこれからについて聞いた。

姉と歌った少女時代の思い出の曲

「ずっと歌いたかった曲は『異邦人』なんです」と原田知世さん。

「小学生の頃、長崎でテレビ番組『夜のヒットスタジオ』や『ザ・ベストテン』をいつも見ていました。毎週、いろんなヒット曲が生まれて。その中で『異邦人』はちょっと異色な曲だったんです。すごく異国の香りのする、今まで聴いたことがない曲で、ものすごく心に響いたんですね。それで久保田早紀さんのアルバムを何度も何度も姉と聴きながら、よく歌っていたんです」

姉は女優の原田貴和子さん。2人で歌っていたという小学生時代を想像すると、こちらも思わず顔がほころぶ。

「久保田さんの乾いたクールな雰囲気、ハスキーな声と歌い方がとても好きでした。あの歌には、こぶしっていうんでしょうか…独特の節回しがたくさん入っていて、どうしてもマスターしたくて。姉とよく、ここはこういう風に歌った方がいい、などと話しながら研究していました。その後、歌手としてもデビューして、いつかカバーしたい! とずっと思ってきた曲です。ようやく今回、歌うことができてその『こぶし』も披露することになりました」

カラオケもない時代。家族旅行の時に車でカセットをかけて、姉と練習してきた甲斐がありました、と笑う原田さんは、まるで少女そのものだ。もうひとつ、何か思い出を教えてくださいとお願いすると、「うーん、どの曲にしようかなあ」と少し迷って、『キャンディ』を挙げてくれた。

「『キャンディ』も、『異邦人』と同じようにちょっと異色の曲でしたね。原田真二さんは、目がくりくりした可愛らしい雰囲気で、ピアノを弾きながら歌ってらして。やっぱり声がすごく好きだったのと、他の歌謡曲と違ってちょっと洋楽的なアプローチの曲だったので、1回聴いてすぐにレコードを買いました。昨年『カバーズ』というNHKの番組で歌ってみたんです。ぜひこの曲をやってみたい、とプロデューサーの伊藤ゴローさんに話すと、おもしろいね、ということになり、去年はツアーでも歌ったんですよ」

原田真二さんには、男性だけど、どこかフェミニンな雰囲気があった。

「いい意味で、そのフェミニンさがすごく魅力だったでしょう? だから、女性の私が歌っても違和感を感じない気がして。今聴いても、すごくいい曲だと思います」

今回のアルバムに収められた曲は、原田さんと同世代の人たちには懐かしいものばかりだけど、初めて聴くという人も多いかもしれない。

「若いレコーディング・エンジニアで『この曲、初めて聴きました』というかたもいたんですよ。このアルバムをきっかけに、若い人がオリジナルまでたどって、そこからまたどんどん広がる、ということがあるとうれしいですね。カバーを歌うのは、そういう役割を果たすことなんだ、と思います」

原田さんは、女優でもある。今回、思い出の曲を歌うときに、それは自分自身なのか、女優として演じているのか、どちらなのだろう。

「このアルバムに関して言うと、演じる部分があるといいかな、と思って、ひとつひとつの言葉のニュアンスを、ちょっと語るように歌ってみたりしました。たとえば『木綿のハンカチーフ』は、男性と女性のかけあいでお芝居に近いので、歌の主人公の気持ちになって彼に対する心を歌っています。実はこの曲は、伊藤ゴローさんが選曲されたんです。私の世代だと、太田裕美さんがちょっとお姉さんなので、あまり歌詞を深く読んだことがなかった。今回初めて、ああ、こんなにせつない素敵な詩だったんだ、と気が付きました」

プロデューサーの伊藤ゴローさんとは、2007年から仕事が続いている。

「ゴローさんは本当に良き理解者です。『木綿のハンカチーフ』は、きっと、自分だったら選曲していないのですが、きっと合うと思う、と言ってくださって。ふだん、自分では選ばない服なんだけど、人に勧められて着てみたら着心地がよくてピッタリだった、ということって、ありますよね。そんな感覚です。私のことを、自分とは違う別の角度から良く見てくださっている人だなあと思っています」

この一瞬は今しかない

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10代でデビューしてから様々な経験があっての今。原田さんにとって、年齢を重ねていくのはどういうことなのだろう。

「世代の変わり目、たとえば30代や40代になった時、全然ピンと来なかったんです。『もう40代になっちゃった!』というのはなかったですね。5年くらい経って、あ、今、私は40代、と気づく。そのくらいでいいのかも、と思います。今やもう自分が何歳かわからない(笑)。誕生日が来るたびに、今、何歳になったかな? という感じなんです」

あっけらかんと笑うその姿がかわいらしい。

「子どもの頃は1日が長くて、未来も遠くて、不安もなかった。今、いろんな経験をしてきて、やっぱり『永遠』はない、この一瞬は今しかない、ということに気がつきました。仕事もそうですし、人ともそう。いろいろなことは当たり前じゃない、奇跡のように人と出会っている。一期一会ですよね。だから、今、この瞬間を本当に大事に過ごさなきゃいけないと思うようになりました」

なによりも心がけているのは、心身の健康。

「体力は、無理がきかなくなってきている気がします。次の日には取れていた疲れが、今はなかなか取れない。その調整を心がけるようになりました。無理をし過ぎないようにすること、睡眠をしっかり取ること、できるだけ体にいいものをおいしいと思いながら食べること。食事はやっぱりすごく大事だと思います。体の健康は肌にも、髪の質にも影響しますよね」

かといって、ストイックにオーガニックにこだわったりしているわけではないという。

「私はそういう感じではないですね。あまりストイックになり過ぎず、ほどよくするのがいいなと思っています。お酒も飲みますよ。おいしくご飯を食べるために、赤ワインにしよう、今日は日本酒にしようと、楽しみながら、たしなむ程度に。ストレスが一番体に悪いと思うので、時々は自分に優しくしてあげるのも大事だと思います」

これからをどう過ごしていきたいか、聞いてみた。

「次は50代ですけれど、50代を迎えたら悔いのない日々を送りたいです。あの時こうすればよかった、ということはもうやらないで、『ちょっと失敗しちゃったけど、まあそれもよかったかな』と思っていきたい。この仕事のおもしろいところは、たとえば映画を撮るといっても毎回全然違う現場なんですよね。関わる人も変わるので、そのひとつひとつを、楽しみながらやっていきたいと思います」

あの原田知世さんが50代になる! 原田さんといえば、エイジレスな女性の代表。なぜそんなに美しくピュアなままなのか、ぜひ教えてください、と聞くと、ちょっとはにかんだ。

「そうですかー。いやあ、私なりに、ですよ? 今、48歳ですけれど、40代後半だからこうしなきゃ、とはあまり思わないようにしてていいんじゃないかなと。ここまできたら、年齢にがんじがらめにならないことが一番じゃないでしょうか。たとえば趣味でも、こういう服が着たいということでも、誰かのためじゃなくて自分のためだと、いきいきと過ごせると思う。自分が納得できたり幸せに感じることを続けていきたいなあと思います。できれば、たくさん笑って過ごしたいですものね。苦労のシワじゃなくて、笑いジワだったらOK! っていうの、あるでしょ? そういう、年齢なりの美しさがあると思うんです。若さではなく、その時、その時のきらめきがあると思うので、大事にしていきたいですね」

取材/文・池田美樹(クロワッサン倶楽部) 写真・鈴木智哉(キリンニジイロ)

 

【information】

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アルバム『恋愛小説2〜若葉のころ』(初回限定盤3,888円/通常盤3,240円)
収録曲 September(竹内まりや・1979年)/やさしさに包まれたなら(荒井由実・1974年)/秘密の花園(松田聖子・1983年)/木綿のハンカチーフ(太田裕美・1975年)/キャンディ(原田真二・1977年)/年下の男の子(キャンディーズ・1975年)/異邦人(久保田早紀・1979年)/夏に恋する女たち(大貫妙子・1983年)/夢先案内人(山口百恵・1977年)/SWEET MEMORIES(松田聖子・1983年)※( )内はオリジナル・アーティストと発表年
【初回限定版特典】2015年の主演ドラマ「三つの月」(CBC)の劇中で歌い話題となった「いちょう並木のセレナーデ」(小沢健二)のカバーを追加収録。また、「September」と前作『恋愛小説』収録曲の「夢の人」のMVのDVD付き。


原田知世オフィシャルサイト
http://haradatomoyo.com/
ユニバーサル ミュージック
http://www.universal-music.co.jp/harada-tomoyo

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