トピックス

暦や行事に沿った掃除で、
家に福を招く【9月・長月編】

日々の掃除も惰性的になってしまうと、手際ばかり考えたり、面倒に思えて仕方がなかったりります。

「ときには、古くから日本に伝わる歳時記に合わせて掃除をすると楽しくなると思うのです。住まいを美しくしながら季節を感じられるようになりますよ」と話すのは、歳時記研究家の広田千悦子さん。季節の行事やしきたりも、暮らしに無理く取り入れられて一石二鳥というわけです。

たとえば、湿気が少なくなる暑気払いの時期に虫干しをする、お盆に合わせて故人をお迎えするために玄関まわりをきれいにするなど、歳時記に合わせた慣習は、理にもかなっています。

さらに、「日本には、祝福を招くために掃除して、場を整えるという古来の考え方があります」と広田さん。昔は、神や祖先の霊を迎えるために心身や場を清めるというならわしがありました。「掃除イコール福を呼ぶ」というふうにも考えることができます。日常生活でも身の回りを清潔に整えれば、心身ともに健康でいられるはず。そこからさまざまな好循環が生まれることを思うと、やはり掃除は福を呼ぶといえるのです。

とはいえ、欲張りすぎて〝今やらなくちゃ〟〝これを守らなくちゃ〟と肩肘を張ってしまうと続きません。

「あまり難しく考えず、両方を気軽に取り入れるきっかけと思って始めるといいですね。窓から入る心地よい風に夏を感じたり、水拭きでツヤを取り戻す床に愛着を感じたり。そんなちょっとしたことで日本文化の良さが再発見できると思いますし、心も豊かになると思います」

 

[9月・長月]
夏の疲れをいたわりながら、秋の訪れを感じてゆったり過ごす。

1日ごろ 二百十日(にひゃくとおか)・・・立春から数えて210日目。台風襲来の時期。
8日ごろ 白露(はくろ)・・・明け方に、草木に露が宿ることが多くなる頃。
9日ごろ 重陽(ちょうよう)の節句・・・菊の節句。
11日ごろ 二百二十日(にひゃくはつか)・・・立春から数えて220日目。
20日ごろ 秋の彼岸の入り
21日ごろ 秋の社日(しゃにち)・・・社日は春と秋にあり、生まれた土地の守護神をまつる日のこと。秋分の日にもっとも近い戊の日。
23日ごろ 秋分(しゅうぶん)・・・この日の前後7日間が彼岸。昼夜の長さがほぼ同じになり、以降は夜が長くなる。
27日ごろ 中秋の名月・・・満月を愛でる習慣。豊作を祈願して団子などを供える。

CR8-9gatu-4
重陽の節句長寿の象徴である菊を用いて繁栄や無病息災を祈る行事。花弁を詰めた菊枕は、安眠枕として重宝されてきた。ベッド周りを整え、枕元に菊をしのばせて健やかな眠りを。
CR8-9gatu-3
中秋の名月長寿の象徴である菊を用いて繁栄や無病息災を祈る行事。花弁を詰めた菊枕は、安眠枕として重宝されてきた。ベッド周りを整え、枕元に菊をしのばせて健やかな眠りを。


 

◎広田千悦子さん 作家、歳時記研究家/雑誌や新聞での連載も多数。最新刊は『七十二候で楽しむ日本の暮らし』(角川ソフィア文庫)。

 

『クロワッサン』903号(2015年6月25日号)より

この記事が気に入ったらいいね!&フォローしよう

この記事が気に入ったらいいね!&フォローしよう

SHARE