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暦や行事に沿った掃除で、
家に福を招く【7月・文月編】

日々の掃除も惰性的になってしまうと、手際ばかり考えたり、面倒に思えて仕方がなかったりします。

「ときには、古くから日本に伝わる歳時記に合わせて掃除をすると楽しくなると思うのです。住まいを美しくしながら季節を感じられるようになりますよ」と話すのは、歳時記研究家の広田千悦子さん。季節の行事やしきたりも、暮らしに無理く取り入れられて一石二鳥というわけです。

たとえば、湿気が少なくなる暑気払いの時期に虫干しをする、お盆に合わせて故人をお迎えするために玄関まわりをきれいにするなど、歳時記に合わせた慣習は、理にもかなっています。

さらに、「日本には、祝福を招くために掃除して、場を整えるという古来の考え方があります」と広田さん。

昔は、神や祖先の霊を迎えるために心身や場を清めるというならわしがありました。「掃除イコール福を呼ぶ」というふうにも考えることができます。

日常生活でも身の回りを清潔に整えれば、心身ともに健康でいられるはず。そこからさまざまな好循環が生まれることを思うと、やはり掃除は福を呼ぶといえるのです。

とはいえ、欲張りすぎて〝今やらなくちゃ〟〝これを守らなくちゃ〟と肩肘を張ってしまうと続きません。

「あまり難しく考えず、両方を気軽に取り入れるきっかけと思って始めるといいですね。窓から入る心地よい風に夏を感じたり、水拭きでツヤを取り戻す床に愛着を感じたり。そんなちょっとしたことで日本文化の良さが再発見できると思いますし、心も豊かになると思います」

 

[7月・文月]
床や家具を磨き上げて、きらきらと輝く星と夏の光を存分に楽しむ。

2日ごろ 半夏生(はんげしょう)・・・田植えの終期。
7日ごろ 小暑(しょうしょ)・・・この日から暑期に入る。梅雨が明け始め、暑中見舞いも出される頃。
7日ごろ 七夕(しきせき)の節句・・・たなばたの日。
20日ごろ 夏の土用入り・・・立秋前の18日間のこと。土用とは各季節の終わりの18〜19日間を指す。
23日ごろ 大暑(たいしょ)・・・一年中で最も暑い日という意味(実際には8月上旬ごろ)。ほとんどの地方で梅雨が明ける。

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七夕の節句 昔は、お盆前のお祓いを行うために水で穢れを流したり、水鏡に願いを祈ると叶うとされていた。これにちなみ床や家具を水拭きで磨き上げて家の中にいい気を取り入れましょう。
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大暑 多くの地域で梅雨明けを迎え、この頃から「梅雨明け十日」といわれる晴天が10日間くらい続く。ふとんや傘、靴、浴衣など、梅雨で湿りがちだったものや季節の衣服の虫干しを。


 

◎広田千悦子さん 作家、歳時記研究家/雑誌や新聞での連載も多数。最新刊は『七十二候で楽しむ日本の暮らし』(角川ソフィア文庫)。
『クロワッサン』903号(2015年6月25日号)より

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