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Vol. 46 乳がんサバイバー&医療ジャーナリストとして…

女性医療ジャーナリスト、増田美加が“女性の医療最前線”を連載でお伝えしてきました。

この連載の初回で書いたように、私は乳がんになりました。ちょうど昨日、9年目の検診に行って、もうこの病院に9年も通っているのか…と感慨深い思いでした。

「えっ、9年も病院に通うの?!」と驚かれる人もいるかと思いますが、乳がんは術後10年間、フォローアップをしていきます。多少施設によって差がありますが…
そのくらい乳がんの治療は長くかかり、再発するリスクもある病気なのです。

私は定期的な乳がん検診で超早期(0期)発見でしたので、命も乳房も失わずにすみました。治療も簡単でした。

がんの範囲はわずか5ミリ。それでも主治医と何度も治療について話し合いました。

がんの範囲はわずか5ミリ。それでも主治医と何度も治療について話し合いました。

手術での切除範囲は3×3センチ。翌日は朝から普通食でトイレも自分で行けました。

手術での切除範囲は3×3センチ。翌日は朝から普通食でトイレも自分で行けました。

4日目の朝には、自分で荷物をまとめて電車で帰りました。

4日目の朝には、自分で荷物をまとめて電車で帰りました。

超早期でしたので、その後は半年に1回検査をくり返しているだけです。1年後には乳房の傷も凹みもまったくわからなくなりました。

それでも、常に頭のどこかに「再発」の2文字があります。私は超早期ですから再発するリスクは、1%もないと言われています。それでも…

つらいがん治療と闘ってきた乳がん患者さんは、私なんかくらべものにならないほど、再発の恐怖や不安、治療の副作用、メンタルの問題に悩まされています。

私は約30年、この仕事を続けていますが、乳がんになってから始めたボランティア活動があります。乳がんや子宮がん、女性の検診の啓発です。
それから、がんの副作用対策、病気予防や不調改善のための正しい漢方医療の啓発です。

私も経験した恐怖や不安を、これから病気と闘う人、今闘っている人から少しでも減らしてあげたい…そのためには、正しい情報を得られる場、何かのときに相談できる場が必要だと思ったのです。

私の乳がんの啓発活動の大きな柱は、毎月1回行っている「マンマチアー委員会 ~乳房の健康を応援する会」(NPO法人女性医療ネットワーク内)です。60回も回を重ねています。

毎月第3水曜日に銀座のクリニックを借りて、どなたでも参加できる会を無料で行っています。

毎月第3水曜日に銀座のクリニックを借りて、どなたでも参加できる会を無料で行っています。

乳がん治療中や治療後の人たちと、カミツレのお湯に入って、無農薬のカミツレを収穫するバスツアーも今年で3回目。今年も5月23-24日 に行います!

乳がん治療中や治療後の人たちと、カミツレのお湯に入って、無農薬のカミツレを収穫するバスツアーも今年で3回目。今年も5月23-24日 に行います!

そして、がん治療中の方々から「このつらい副作用をなんとかしたい…」という声に少しでも答えるために、「NPO法人みんなの漢方®」を設立しました。
もちろん、がん患者さんだけでなく、不調を抱える女性たちに日常のヘルスケアに役立つ漢方の情報を発信しています。

こんな活動を続けてきた私に昨年、心に残る出会いがありました。女子高校生が「学校の自由研究で、乳がんの取材をしたい」と訪ねてきたのです。
「高校生が乳がん?」と思って、お会いして話を聞くと、お母さんが乳がんにかかって、つらい抗がん剤治療中だとのこと。
彼女は「医学部に入って、将来、副作用に苦しまずに済む、薬やがん治療を開発したい!」というを持っていました。
「この仕事、この活動を続けてきてよかった」と思った瞬間でした。

私には副作用のない抗がん剤を開発する時間はもう残されていませんが、正しいがんの情報や、正しい検診の情報を多くの人に伝え、患者さんの不安に寄り添う時間はまだたくさんある、と勇気を得たのでした。

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