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Vol. 36 医者に手抜きされて死なないための 患者力

『医者に手抜きされて死なないための 患者力』という拙書が11月20日に発売になりました。

医者に手抜きされて死なないための 患者力
『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)増田美加 著

今なぜ、「患者力」なのでしょうか?
多かれ少なかれ、誰もが病院にかかり、一度は“患者”を経験していると思います。私は、医療とヘルスケアの現場を取材して30年近く、さまざまな医療現場を訪ね、約2000人の医師と会ってきました。

このブログでも、何人もの医師や病院を訪ねていますが、私が仕事の中で大切にしてきたことは、医療を受ける“患者”(あるいは“医療消費者”)としての視点です。医師や医療者側からの目線だけではわからない、患者視点の重要性にもっと世の中が気づいてほしい、と思っています。私は、多くの患者さんの取材や相談を通じて、患者にとって、“いい医療とは?”“名医とは?”を考え続けてきました。

私のもとに相談に訪れる患者さんや私が書いている雑誌や本の読者たちの要望は、
「どうやって医師や病院を選んだらいいの?」
「いい医師や病院を見極める方法を教えてほしい」
というものが圧倒的です。

それほど、医師や病院選びに悩んでいるのです。そして、感じたのは、私たち自身に「患者力」が必要だということです。医療を取材し伝えるジャーナリストとして、さらに実際のがん患者としての経験(乳がん体験については、このブログ連載のVOL.1でも書きました)から、年を重ねるごとに「患者力」の大切さを実感しています。

私は、「患者力」は自分自身が“納得できる医療”を受けるための力だと考えています。納得できる医療とは、「病気はしたけれど、いい医療(治療)を受けられてよかった。いい医師と出会えてよかった」という満足感です。どんなに高度な先進医療を受けても、どんな名医と言われる医師にかかっても、たとえ病気が治ったとしても、納得できず後悔することだってあるのです。

この「患者力」をもっているのと、いないのとでは、その後の人生や寿命が変わることさえあります。
実際、私の周りでも、
「あそこで別の道を選んでいたら、命を落とさずにすんだかもしれない。命の時間がもう少し先まで延ばせていたかもしれない」
という人が何人もいます。

逆に、がんが再発し若くして命を落とした人でも、「患者力」を思う存分発揮して、笑って天国にいった人も間近に見ています。もちろん、命にかかわる病気の場合だけでなく、「患者力」は、身近な病気でも使えます。

「患者力」に必要なことは、たったふたつです。
1 医師とのコミュニケーション力を上げること。
2 自分の病気と治療の知識をもつこと。

「医師とのコミュニケーション力」を上げるためのスキルを本の中で詳しく紹介しています。また、圧倒的に知識の差がある相手(医師)と向き合うとき、あるいは勝負するときには、患者として最低限必要な「知識」を持っていることが武器になります。患者の「武器となる知識とは何か」についても、この本で具体的に紹介しています。

この本では、患者力トレーニングとして、17の問いを立てて投げかけていますが、読み進めるなかで答えが見つかるようになっています。たとえば、

Q 医師や病院を選ぶとき、いちばん重視すべきポイントはなんでしょうか?

Q 「セカンドオピニオン」を受けても期待するメリットが得られないのはどれでしょうか?

Q どうしても医師に質問しにくいとき、どうするのがいいでしょうか?

Q 医師との面談でやらないことほうがいいことはなんでしょうか?

Q 医師から説明を受けるとき、患者がおかしがちなミスはなんでしょうか?

人間ならいつか誰でも病気にかかります。
病気を治して、あるいは症状を抑えて、幸せな人生を送れるようにする、もしくは幸せに死ねるようにする。
これが本来の医療です。医療は、私たちを幸せにする行為でなくてはなりません。そのために、医療者側には最大限の努力をしてほしいと思いますが、私たち患者(医療消費者)にも「知恵と知識」が必要です。

今後、日本の保険医療制度の見直しが起こり、近い将来、大きな転換点を迎えるときが必ずやってきます。超高齢化時代への突入、医療技術の進歩とそれを支えるためのコストの問題、医療費の増大…。

現状の保険医療制度は、同じ費用で、全国どこでも同等レベルの医療が受けられることが最大のメリットです。しかし、現実はそうではありません。

現状でさえ、医療の質の格差が生じつつあり、都市部と地方での地域格差、自費(自由)診療と保険診療のすみ分けが問題になっています。

今後、より一層「患者力」がなくては、「納得できる医療」を受けられない時代になっていくでしょう。

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