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【クラウド編】わかっているようで不安もある、今さら聞けない大人のSNS生活。

  • 文・板倉ミキコ イラストレーション・安ケ平正哉 監修・高橋暁子

数種あるクラウドサービス。何を基準に選ぶのですか?

クラウドサービスを掲げる会社は多数あるけれど、違いはあるのだろうか。
「自分の大切なデータを預け、管理してもらうものなので、セキュリティの堅牢さが判断基準になりますね。そう考えると、先行でサービスをスタートした会社のほうが、実績に基づいてセキュリティの信頼度は高い傾向が。グーグルやドロップボックスなどが代表的です。一方、アップルがやっているクラウドサービスのiCloudは、iPhoneとの連動感の良さが特徴と、独自の利便性やサービスを売りにしたものもあります。クラウドサービスも、銀行や保険会社を選ぶ時と同じように、自分が何に優先価値を置くかで選べるようになっていくのでは」

データが流出するのが不安……。クラウドを使わない方法もあり?

公の場所ともいえるクラウドにデータを預けた場合、大切な写真やメールの中身などが流出してしまう危険性もゼロではないと考えると、サービスを利用しない方法はないかと思うことも。
「スマホがこれほど普及し、個人でも画像など大量なデータを使う昨今。自分でデータを管理するのは難しく、個人の端末が壊れたらデータも壊れてしまいます。クラウドに預けておけばその心配はありませんし、セキュリティも個人レベルよりはるかに強固。もちろん、サービス会社が不正なアクセスを受けるなどして、データが流出してしまう危険はゼロではありませんが、自分で管理するよりはずっと安全です」
リスクを加味しても、サービスを利用するほうが圧倒的な利便性がある。

「自衛策として、絶対に人に見られたくないデータは安易にアップしないこと。パスワードの扱いも大切です。情報登録が必要なサービスの中にはセキュリティが弱いものもあるので、パスワードを複数共用しないことが基本。ただ、いくつも変えるのは不便だし、自分が覚えられないという声も多いですね。最近では、紙に書いて自宅に置いておく、というアナログな方法が一番安心という考え方も出てきました」

知らずに利用しているクラウドサービスもある?

私たちの生活に既に浸透しているクラウドサービス。実は、個人でスマホやPCを使用していなくとも、公共のサービスで利用していることも。
「例えば銀行。会計、帳簿の管理など、根幹に関わること以外はクラウドを使ったほうが効率的に管理ができるので外部のサービス会社に外注しています。また、多くの病院も電子カルテや会計の管理に利用しています。膨大なデータ量を独自に管理できませんし、すべてのデータを自分たちで処理するほうが危険だと考えられているから。各所でスムーズにサービスが受けられるのはありがたいし、データの流出が怖いと過剰に心配しても、既に自然と使っているのです。そのおかげで快適に生活できている点も大きいんですよ」

これから先、サービスは どうなっていくのだろう。

クラウドサービスが始まったのは、わずか10年ほど前。瞬く間に私たちの社会に浸透したけれど、これから先はどんな進化が期待できる?
「元々グーグル社が、自分たちの持っているサーバーのスペースの余剰部分を他者に貸し出し、データ管理もしてあげ、サービスを利用してもらえればお金や情報が得られて有効活用もできる、と始めたのがクラウドサービス。グーグルの展望は、サービスを利用する我我から得られるあらゆる情報を基に、ユーザーにとって有益かつ即効性のある情報や広告を提供することなのです」

広告提供の精度が上がれば、クライアントとユーザー双方にメリットがあるという考え。
「個人情報がアップされるほど、嗜好や行動パターン、属性が絞られます。ゆくゆくは、能動的な検索すらせずに、自分に必要な情報が自動的に提供されるようになるかもしれません」

高橋暁子(たかはし・あきこ)●ITジャーナリスト。SNSの黎明期から、LINE、Facebookなどの動向を追う。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)など著書多数。

『クロワッサン』963号より

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