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白砂糖も添加物も使わない、穏やかな和菓子に込める想い。

  • 撮影・三東サイ 文・大澤千穂

技術を基礎から学びながら、和菓子研究家として始動。

白胡麻葛プリン、黒胡麻葛プリン 1食10.4gと低糖質な和のプリン。藻塩がアガベの甘みを引き立てる。各450円。

一生穏やかに続けられる仕事って何だろう。自分に問いかけてふと浮かんだ言葉は、「私、お菓子好きよね」。その時、行動するきっかけをくれたのは、「マクロビを学んでみたら?」という友人の一言だった。
「それを聞いて、白砂糖を使わないマクロビ発想の和菓子は今までないなと考えたんです。私自身、和菓子は好きなのに、既存の和菓子は砂糖や添加物が多くて心から食べたいと思えるものがあまりなかった。そういうお菓子がないなら、私が作ろうと思いました。きっと心のどこかに“もっと夫に身体によいものを食べさせていれば”という後悔もあったのでしょうね」

マクロビのスクールで穀物や野菜などを中心にした食事法を学ぶうちに、無農薬の農産物に関心が芽生え、ナチュラルフードも学んだ。すでに独学で和菓子作りをスタートさせていた黒岩さんだが、製菓学校夜間の和菓子科にも入学。和菓子作りの技術を基礎から勉強することにした。
「2年かかることに躊躇したけれど、設備の整った教室を見学したら、学びたい!という思いがわいてきて。人生の中の2年。たいしたことじゃない。在学中に和菓子屋さんで修業アルバイトをしたことも貴重な経験です」

白胡麻葛プリン、黒胡麻葛プリンは、有機豆乳で溶いて本葛で固めた胡麻ペーストを流し、葛と寒天で固めた餡を上に重ねる。

開店の際には前職のノウハウを活かし、試食PRを敢行。

学業、修業、そしてマクロビ和菓子研究家として白砂糖を使わないお菓子を追求する三足のわらじ。修業先の和菓子職人や学校の教官も黒岩さんが作る新しいスタイルの和菓子に驚きつつ、見守ってくれた。そして2016年4月、晴れて店をオープン。仕事を辞めて飛び込んだ和菓子の世界だったが、開店の際には前職のノウハウが大いに役に立ったそう。
「オープン前には、商品を抱えて昔お世話になったメディアの方々を訪ね、試食PRを敢行(笑)。私のお菓子のコンセプトや控えめな甘さを喜んでもらえて、手応えを感じましたね」
看板商品の豆大福「福巡り」は周囲の意見を取り入れて生まれた。
「“和菓子なら大福!”という方、多いんです。ならば大福、それも豆大福をと考えて作りました」

餅は、新潟県産の自然栽培のもち玄米に雑穀を配合してプチプチとした食感に。豆は定番の赤エンドウ豆ではなく無農薬の黒大豆をチョイス。大きな豆のほくほくとした食感がアクセントになっている。まさに素材をまるごといただく、この店らしい一品だ。

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