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白砂糖も添加物も使わない、穏やかな和菓子に込める想い。

自然素材をまるごと生かす『和のかし 巡』の菓子。凛として温かい、その味の源は、店主・黒岩典子さんの豊かな人生経験にある。
  • 撮影・三東サイ 文・大澤千穂
キヌアなど雑穀入りもち玄米の餅で作る豆大福「福巡り」。特製なめらか餡とつぶ餡の2種。玄米なのに柔らかい! 350円。

午前6時。東京・代々木上原の住宅街で『和のかし 巡(めぐり)』の厨房が動き始める。小さな厨房をフル稼働させてもち米を蒸し、豆を煮込む。すべて手作業という手間も時間もかかる仕込みを日日、一人で行うのが店主の黒岩典子さんだ。

開店前の仕込みに没頭する黒岩さん。以前バーだった限られた空間をフル活用。

白砂糖を使わず、卵、小麦粉、添加物も一切なし。健康を気遣いながら、がまんせず食べられるおいしい和菓子をと、昨春ここに店を開いた。

「私にとって健康とは“血液の巡りがいい”こと。巡りを促進し、身体に負担をかけない食材で和菓子を作っています。ですから、吸収が早く血糖値を急激に上げる白砂糖は使いません。そして食材の栄養を全部摂れるよう、豆もまるごと、もち米も玄米のまま。全体を捨てるところなく使っています」

だからこそよい食材をと、もち玄米も豆も無農薬だ。理念から素材に至るまで一つの想いを貫いている

もち玄米は新潟県の農家から。黒酢を散布し虫を防ぐ黒酢農法で無農薬米を育てる。

豆をまるごと生かしたオリジナル餡が味の要。

この店のお菓子の魅力は豆や米などの素材を生かした自然な味わい。そのベースになるのが、すべてのお菓子に使う自家製の「なめらか餡」だ。
「自然栽培の小豆を皮ごと使い、口当たりよく仕上げた特製の餡です。豆をまるごと使う豊かな味です」

風味を引き立てる、さらりと軽い甘みの秘密は、有機アガベシロップ。血糖値を上げにくい低GI食品として注目されている、リュウゼツラン科の植物の樹液を使った甘味料だ。
「通常の和菓子は豆より砂糖の量が多くなりがち。甘すぎるのは私も苦手ですが、和菓子に糖分は不可欠です。せっかく食べるなら身体によいものをと考え、アガベシロップにたどり着きました。高価な材料ですがアガベ100%のすっきりした甘さは、私のお菓子に合っていると思います」

(左)銅製の「さわり鍋」にお湯を張り、蒸籠を載せてもち米を蒸し上げる。(右)手際よく、たっぷりと、手作業で餅に餡を詰めていく。
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