「よくないのは問題がある場所を把握しないで、見た目重視、外面だけを直すリフォームです」
と山見さん。要注意なのは中古マンション購入の際などによく聞く「フルリノベ」という言葉。フルリノベとは、フルリノベーションの略語なのだがーー。
「リノベーションという言葉には、いまのところきちんとした定義がないんです。フルリノベというと、骨組みだけ残して内装や設備をまるごとリフォームするフルスケルトンのイメージを抱くと思いますが、壁紙や床材の変更だけで下地はそのままでもフルリノベと言っている実例も。業者の言い分を鵜呑みにしないことです」
外面を新しくきれいにすることはもちろん大事だけれど、リフォームは大きな金額を費やして行う人生で何度もできない大事業。耐震性や断熱性、快適性など、住まいの機能を高めるチャンスとして利用したい。ことに50代以上のリフォームで終の棲家の用意をする心づもりなら、快適性では床暖房、ヒートショックを考慮すれば全館空調もおすすめだ。耐震性の補強も重要だが、注意点もある。
「壁に補強材の筋交いを部分的に入れたりしてしまうと、逆効果になることがあるんです。建物の耐震性はバランスを考えて保たれているので、局部的に強くするとバランスが崩れて、全体としては逆に弱くなってしまうこともありますので気をつけてください」
またマンションの場合、高く売るためにと考えて見た目をきれいにするリフォームはしないほうがいい場合も。慎重に考えて。買う側にも好みというものがあり、何もしていなければ自分で好きにリフォームできるからだ。