くらし
ニュース

業者選びからお金の話まで、リフォーム相談室。

  • 撮影・尾嶝 太 文・一澤ひらり

Q リフォーム工事におけるトラブル、 防ぐ方法はありますか?

リフォームに関する苦情のなかで一番多いのは、仕上がりが希望したものと違う、こんなはずじゃなかった、という類のもの。
「こうしたトラブルに共通するのは契約書が曖昧で、見積もりも一式いくらなどと大雑把にしか書かれていないため、何をどうするのか全くわからないこと。起きるべくして起きたトラブルが多いんですよ」
と山見さん。見積書はちゃんと検討することが必要で、つい費用総額に目が行ってしまいがちだが、「何をどのように使っているか」をよくチェックするべき。

もうひとつトラブルの原因になるのが、打ち合わせ不足や打ち合わせ記録が残っていないことです
打ち合わせ記録は議事録ともいう。その日に話し合って決めたことをすべて記録した紙を、複写式にして、施主と業者がサインして1部ずつ持っておくとよい。
「これを毎回やることが大事で、打ち合わせ記録が残っていると『こんな壁紙だっけ?』と疑問が出たときは品番をチェックできるし、トラブルが起きたときは法的にも有効です。きちんとした打ち合わせ記録があれば、トラブルの半分以上は解決すると思いますね」

そして何よりトラブルを防ぐカギは、専門家によるチェックを入れること。
「理想を言えばホームインスペクターが計画段階から入って、リフォームする前と工事中、工事終了時にチェックすれば、どのようなことが行われたかがわかります。見落としがあれば業者にやり直してもらいますし、施主の希望どおりになるようにサポートします」

Q 見積書の読み方を知って、確かなリフォーム業者を選ぶ方法。

見積書の「床張り替え一式」では、下地ごと交換するのか、フローリングの張り替えだけか、何もわからない。

リフォーム業者を選ぶ際、最初に決めておくべきことがある。それは業者に何を一番期待するのかということ。
「大手住宅メーカーのようなブランド=安心感で選ぶのか、なるべく安価に収めてくれる地元の工務店を選ぶのか、あるいはデザイン性を重視するなら好みの設計事務所に依頼するのも手です。まず自分たちのニーズをはっきりさせて業者選びをすることが大切ですね」

その上で要望に合致するような業者を1社ではなく、3〜4社ピックアップして見積もりを出してもらうとよい。
「きちんとしたリフォーム会社なら、マンションであれば管理人室で竣工図を確認しますし、管理規約をチェックするはずです。図面も見ずにリフォームしたい箇所だけを聞き、『それは〇〇円でできます』と話すような業者は要注意ですね」

さて、業者選択で肝心なのはこれから。各社に提出してもらった見積書の何を見てどう判断すれば失敗しないだろうか?
「単に金額で比較しても意味がありません。一般的に小さな会社のほうが安いですが、総費用の高い安いではなく、A社にはこれが含まれているけれどB社には含まれていないとか、一つ一つ検討していかないと意味がないんです」

上の見積書は、いい例、悪い例の2つを比較するために山見さんに作成してもらったもの。
「悪い例で、リビング床張り替え一式と記されていますが、どこまでやって何の材料を使うのか、まるでわかりません。下地ごと交換するのか、床だけ張り替えるのか、床の上にもう1枚張るだけなのか。これに対していい例は、リビングの床張り替えにおける工事の細目と金額がきちんと書かれています」
この見積もりでわかるのは、床の張り替えはまず既存の床を撤去して新しくを組み、その上に下地の合板を張ってからフローリングを張るということ。
「材料で値段もかなり変わってくるのでフローリングの材料もどこのメーカーでどの品番を使うかを指定しています。ここまで内訳を詳細にしていない見積もりでも、OKを出してしまったら、何をされても文句は言えません」

しかし悪い例のような見積もりを出すところが多いのが現状だという。細かな見積もりをチェックする手間を惜しまないことが業者選びの大きなポイントだ。

1 2 3 4
この記事が気に入ったらいいね!&フォローしよう

この記事が気に入ったらいいね!&フォローしよう

SHARE

※ 記事中の商品価格は、特に表記がない場合は税込価格です。ただしクロワッサン1043号以前から転載した記事に関しては、本体のみ(税抜き)の価格となります。

人気記事ランキング

  • 最新
  • 週間
  • 月間