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餡好きが選ぶ、あんこもの大集合!【最中編】

  • 撮影・千葉 諭 文・日高むつみ

郷土愛が込められた、全国の最中

神戸生まれの若菜晃子さん。幼い頃に近所のグロサリーで外国のお菓子の虜に。お国柄で味もパッケージもまるで違うのが楽しかったという。長じて日本各地の山に登るようになり、ローカル菓子のおもしろさに目覚めていった。
「地元の特産物とか伝説、偉人までお菓子のモチーフにしちゃう。特に和菓子、中でも最中は顕著です。皮の造形を工夫することで郷土愛を込めやすいんでしょうね」

箱根『ちもと』の鈴も、稚内『かしわぎ』の蟹も、伊豆『梅月園』の松かさも旅先で見つけたもの。しかも1度ならず2度3度リピートしているのだそう。
「どちらも手を広げすぎず真面目に作ってらっしゃるところばかり。こういうお店のあんこはきちんと豆の味がするんです。都内ですが『さゝま』や『田川堂』も、そこは同じ。機会あるごとに美味しくいただくことで応援したいなと思います」

【湯もち本舗 ちもと】八里

遊び心ある意匠も魅力。湯の里の知る人ぞ知る名品。
箱根馬子唄に唄われた馬子衆の鈴を象ったひと口最中。しっかり練り上げたこしあんと焦がしを利かせた皮が好相性。朱紫白の紐も愛らしい。1房 250円。取り寄せ可。

神奈川県足柄下郡箱根町湯本690 TEL 0460・85・5632 年に5日ほど休

【かしわぎ】かに最中

蟹の造形のおもしろさと手のひらほどの大きさに釘付け。
ご当地名物の花咲蟹がモチーフ。地元・北海道産小豆をほっくり炊いた粒あんは甘さ控えめで素朴な味わい。大ぶりながら軽く平らげられる。4個入り1,000円。取り寄せ可。

北海道稚内市中央3・14・14 TEL 0162・23・3989 日曜休

【梅月園】松かさ最中

意外な重量感に驚く、粒あんぎっしりの松ぼっくり。
昭和6年の創業以来の大定番。老松かさをイメージした皮いっぱいに、小豆の粒感きわだつあんが詰まっている。老松かさと若松かさの2種 8個入り 1,260円。取り寄せ可。

静岡県賀茂郡松崎町桜田149・1 TEL 0558・42・0010 無休

【御菓子処 さゝま】松葉最中

戦前から作り続けて80年。濃いお茶に合う小ぶりな最中。
看板の松葉最中は味を落ち着かせるため前夜にあんを詰めておく。香ばしい焦がし皮と、甘み濃厚ながらキレのあるこしあんの一体感は見事。1個 135円(税込)。

東京都千代田区神田神保町1・23 TEL 03・3294・0978 日曜、祝日休

【田川堂】最中

注文を受け、その場で詰める。できたての美味しさに舌鼓。
霊岸橋たもとで100余年。シンプルな円形の皮はやや厚みがあって、艶光りする粒あんと互角に渡り合う。豆の風味が豊かに広がる昔ながらの最中。1個 180円。

東京都中央区新川1・2・7 TEL 03・3551・5479 土・日曜、祝日休

>> 【豆大福編】はこちら

>> 【羊羹編】はこちら

>> 【いろいろなあんこ編 その1】はこちら

>> 【いろいろなあんこ編 その2】はこちら

山口恵以子●会社勤めの傍ら脚本プロットを手がけ、作家デビュー。社員食堂に勤務していた2013年に松本清張賞を受賞。『風待心中』など著書多数。

若菜晃子●山と溪谷社勤務を経て独立。自然や旅に関する雑誌書籍を編集・執筆する傍ら各地の菓子をめぐる文化に興味津々。著書に『地元菓子』など。

『クロワッサン』960号より

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