アンガーマネジメントは、1970年代にアメリカで始まったとされる、怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング方法だ。性格、人格、能力に関係なく、誰でも気軽に取り組めるものとして、あらゆる分野に浸透してきた。ここ数年、日本でも注目されだしたのには、社会的な変化も大いに影響している、とアンガーマネジメントコンサルタントの安藤俊介さん。
「自分の現状に不満を抱える人が増えているからだと思います。常に怒りをぶつける対象を探し、感情を発散させることで溜飲を下げる……。SNSでの炎上騒ぎはその最たるものでしょう」
ただ勘違いしがちなのが、アンガーマネジメントを怒らないためのテクニックと捉えてしまうこと。
「怒りは、自分の大切なものを守るために必要なエネルギーですから、絶対悪ではありません。問題なのは、怒りによって感情に振り回され、自分や周りの人を傷つけてしまうことです。アンガーマネジメントの狙いは、怒ること、怒らなくていいことの区別を明確にすること。そして、怒るべき時には感情任せではなく、事態を好転させるやり方で怒る。そうすれば人や自分を傷つけることも減少するでしょう」