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【準備編】あるもので食べたいおかず作り。発想を転換して食卓に広がりを。

  • 撮影・小林キユウ 料理製作・坂井より子 文・新田草子

家事は朝のうちに、が決まりごと。

酢豚は、肉の代わりに厚揚げで作っても。「フライパンで焼き付けてから煮ると、崩れません」

食事の支度の段取りにも、坂井さんには独自のルールがある。
「とにかく朝やってしまうんです。献立を決めたり、常備菜を作ったり。夕方に焦らなくて済むから、精神的にとてもラクですよ」
掃除も朝のうちに、が決まりごと。
「朝食の片づけのついでに、リビングを掃き掃除してキッチンの床を磨きます。毎日やれば汚れも溜まりません」

5時半に起きたら手早く家事を進め、朝9時には日課を終えてしまう。そのあと夕方までは、出かけたり本を読んだりして、好きに過ごす。
「反対に、夜できることは夜に。我が家では夜お風呂に入っているときに洗濯機を回して、洗濯物をリビングに干してから寝るのが長年の習慣。ひと晩でけっこう乾くのであとは朝、1〜2時間お日様に当ててパリッとさせて畳むだけ。これが気に入っています」

献立作りも、掃除や洗濯などの家事も、「こうするのが普通」を取り払って考えることで、自分なりの合理的な方法を編み出してきた坂井さん。
「だって、できるだけ自分の時間を作って、好きなことをしたいじゃない? まずは自分自身を楽しませないと」
うふふ、とチャーミングに笑いながら、そう教えてくれた。

家庭料理なんだから、自由でいい。

気づけば陽も傾き、そろそろ3人の孫たちが帰宅する時間。坂井さんも夕食の支度に取りかかる。この日のメインは酢豚と決めて、朝のうちに豚肉の切り落としを冷凍庫から出しておいた。酢豚は角切り肉を使うイメージがあるが、「切り落としを片栗粉で固めればいいのでは」と思い付いた。まとめた豚肉を丸く形作って焼き、ゆでておいた野菜とともに甘酸っぱく煮込む。

試食させてもらうと肉が柔らかく、調味料がしみていて、むしろ角切り肉で作ったものよりおいしく感じる。これは子どもたちも大好きに違いない。

「家庭料理なんだから、自由でいいの」。

切り落とし肉で作る酢豚

【材料(4人分)】
豚肉(切り落とし) 300g
玉ねぎ 大1個
ピーマン 3〜4個
黄パプリカ 1個
塩、こしょう、片栗粉、サラダ油、ごま油 各適量
A[醤油、酒 各大さじ1 生姜のすりおろし 小さじ1]
B[酢 大さじ5 醤油、砂糖 各大さじ3 ケチャップ 大さじ2 酒 大さじ1 水 50㎖]

【作り方】
1. 豚肉はAで下味をつける。野菜はすべてひと口大に切る。
2. 鍋に湯を沸かし、玉ねぎ、ピーマン、パプリカの順に入れてさっとゆで、ざるに上げて水気を切る。
3. 豚肉に片栗粉を揉み込み、ひと口大くらいの固まりに丸める。フライパンにサラダ油をひき、豚肉の表面を焼いて、いったん取り出す。
4. のフライパンにBを入れて煮立て、すべての野菜を加える。豚肉を戻し入れて火を通す。
5. 塩、こしょうで味を調え、香り付けにごま油を回しかける。

毎日の工夫の積み重ねから生まれたレシピ。数ある中から、すぐに真似できる16品を教えてもらった。

>> 【シンプルレシピ編】はこちら
>> 【アレンジレシピ編】はこちら

坂井より子●料理家。長年の主婦歴を生かし、やさしい家庭料理や暮らしの知恵を若い世代に伝える。著書に『より子式・日々の重ねかた 暮らしをつむぐ』(技術評論社)ほか。

『クロワッサン』958号より

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