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山口恵以子さんが初めてファンタジー小説に感銘を受けた『紙の動物園』。

  • 撮影・千葉 諭、青木和義(山口さん) 文・一澤ひらり

ということで、「いきなりファンタジー小説の王道に挑むのは気後れして」と、山口さんが今回チャレンジした本は『紙の動物園』。著者のケン・リュウは1976年、中国に生まれ、11歳のときに家族でアメリカに移住して、弁護士、プログラマーの顔も持つという、今、最も注目を集めている作家だ。なにしろ表題作の「紙の動物園」は、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、世界幻想文学大賞という、英語圏のSF&ファンタジーの最もメジャーな文学賞の短編部門で3冠に輝く、史上初の快挙を達成した話題作なのだ。

『紙の動物園』ケン・リュウ 早川書房 1,900円

「15の短編で構成されているから、読みやすいんじゃないかなと思って『紙の動物園』を選びました。でも読んだあと最初に思った率直な感想は、これってファンタジーなの?ということ。非常に文学性の高いSFだと思ったんです。ジャンルはともかく、どの短編を読んでも、生とは何か、死とは何か、人生とは何かって、人間が抱く根源的な謎について考えさせられます。先ほども言いましたが、優れた小説は必ず謎を含んでいて読者の心をとらえるものです。そういう意味でも、とても優れた本だと思いました」

中でも山口さんが深い感銘を受けたと話すのが表題作の「紙の動物園」。ある事情で香港からアメリカに渡った母は「ハロー」と「グッドバイ」以外の英語を解さない中国人女性。泣き虫だった「ぼく」に、母が包装紙で折ってくれた虎や水牛など、折り紙の動物たちには生命が吹き込まれ、友だちになった。しかし成長するにつれて異文化圏出身の母を疎んじるようになった「ぼく」は、母の死後その心情を、再び動物の折り紙をきっかけにして知ることになるのだが……。

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