好きな本を何回も読み返したっていい。時間を置いてから読み返すと、その本の新たな魅力を発見することもある。豊﨑さん自身は職業柄、新刊を次々と追いかけて読まなければならないが、書評を書く本については三読(同じ本を3回読む)まですると話す。
一読目は、1行ずつ丹念に読み進め、気になった箇所に傍線やかぎかっこ、メモなどを書き入れていく。チェックするのは、「まず、登場人物の名前や年齢、何年などの数字関係といった、書評を書く時に間違えてはいけないデータ部分です。それから、その小説の企みや仕掛けになっているんじゃないかと疑ったところ。ストーリーの展開が変わるポイントや、書評で引用したいなと思ったところなどです」。