インスタグラムで手料理の写真を公開し、ツイッターでは食に関するつぶやきもしばしば。おいしいもの好きの料理上手として知られる井上荒野さんは、28歳の時に母から譲り受けたレシピの本を、今でも大切に持っている。
暮しの手帖社が昭和44年に初版を発行した『おそうざい十二カ月』と、同47年初版の『おそうざいふう外国料理』。どちらも現在まで、半世紀近くロングセラーとなっている名著だ。
「実家にいた頃は、食事は全部母が作ってくれていたので、私は料理はまったくしませんでした。28歳でひとり暮らしをすると言ったら、母が一緒にデパートへ行き、鍋や食器をそろえてくれて、これを持っていけばと渡してくれたのが、この2冊です。それまで、母が自分で使っていたものでした」
『おそうざい十二カ月』は春夏秋冬のおかずを、『おそうざいふう外国料理』は洋食と中華を、いずれもプロの料理人が、一般の家庭で作りやすく、おいしくできるようにと紹介している。
「わりと基本的な料理が載っているので作りやすかったです。初めは計量して作っていました」と井上さん。料理について何もわからなかったため、ごく普通の家庭料理が掲載されているのがありがたかった。