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朝井リョウさんの人生を変えた本、さくらももこのエッセイ3部作。

  • 撮影・岩本慶三 文・一澤ひらり

「家族を面白く書いてもいいんだっていうのもさくらさんのエッセイが教えてくれたことです。『もものかんづめ』の中に〈メルヘン翁〉っていう、さくらさんのおじいさんが亡くなったときの話があるんですけど、どうしようもなく笑ってしまう。禁忌に思えることすらも面白く読めるっていう、タブー無しの感じがすごく印象的だったんですよね。しかも『ちびまる子ちゃん』の優しい友蔵じいちゃんが実は……、みたいなこともわかったりして」

ことのほか魅かれるのは、ちょっとしたことだけでもメチャメチャ楽しもうという精神が、いろんなところから感じられること。

「その精神にはいまでもすごく憧れていますね。さくらさんのエッセイによって、カッコいい大人とはバカバカしいくらい無駄なものに時間とお金と労力を注ぎまくるものっていうイメージがインプットされました。昔から、大人になったら思いっきり真剣にくだらないことをしたいなって思っていました」それをエッセイにして書くというのが小説家を夢見る朝井少年の大きな野望になっていったのである。

最新刊は『風と共にゆとりぬ』(文藝春秋)。『時をかけるゆとり』に続く、エッセイ集第2弾。笑いが止まらない。

『クロワッサン』955号より

●朝井リョウさん 作家/1989年、岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞、’13年『何者』で直木賞、’14年『世界地図の下書き』で坪田譲治文学賞を受賞した。

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