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朝井リョウさんの人生を変えた本、さくらももこのエッセイ3部作。

ベストセラー作家・朝井リョウさん。ずっと憧れ続けているという、さくらももこさんのエッセイ3部作の魅力を教えてもらいました。
  • 撮影・岩本慶三 文・一澤ひらり

「実家にはいろんなジャンルの文庫本が、家じゅうのあらゆる所にばらまかれていたんです。トイレだったり、階段だったり、脱衣所にもありました。うちでは風呂でみんな本を読んでいたんです。それをまた誰かが持って移動して、どこに置いてもいいみたいな……。いろんな本が家の中を自由に動き回っていたんですよね」と、少年時代の家庭内のユニークな読書環境を振り返る朝井リョウさん。家のそこかしこに散らばる数多ある本の中でも、「これさえあれば、それでいいじゃん」と、とりあえずひと安心できる本があった。それがさくらももこさんのエッセイシリーズだった。「ほぼ全て揃っていたので、小、中学生のころにヒマさえあったら手に取って読んでいたんです。いつどこから読んでも面白いし、大笑いできる。どの本も何回読んでも色褪せることがなくて、小さな宝箱みたいな感覚でした」

本を読むということに対して、いまなお少し肩ひじを張ってしまうところがあるという朝井さん。「ちゃんと感動しなきゃとか、著者の言いたいことをきちんと汲み取らなきゃとか、ちょっとプレッシャーになる気持ちが抜けないんですけど、さくらさんのエッセイにはそういう要素が一切ないんです。人生における重要なことなんて全く訴えかけてこない。文章を読むこと自体の楽しさを味わわせてくれた、読書体験の原点です。なので、お守り代わりに東京の家にも置いてありますし、いま実家に戻ってもやっぱり読んでしまいますね。とにかく本を読むことのハードルをすごく下げてくれたっていう意味で、自分にとって人生を変えてくれた本だなって思います」ということで、朝井さんが挙げた本は、『もものかんづめ』『さるのこしかけ』『たいのおかしら』という、さくらももこさんのエッセイ3部作。

「さくらさんの3部作『もものかんづめ』『さるのこしかけ』『たいのおかしら』は僕のお守りです」
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