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新進の相撲部屋に運と人を引き寄せる、2匹のまねき猫。

  • 撮影・青木和義 文・大澤千穂

モルと荒汐部屋の出合いは、12年前の九州場所。宿舎にしていた福岡県のアパートで、当時入門したての力士だった内海さん(現マネージャー)が気配を感じて振り返ると、あどけない子猫が玄関にちょこんと座っていた。

「ちゃんこ場からかつおぶしを持ってきてあげたら、おいしそうに食べて、帰って行きました。おかみさんが『あのままじゃ死んじゃうかも、連れて帰りましょうよ』と心配するので、僕猫缶でおびきよせて(笑)、その夜は一緒の布団で寝ました。布団におねしょされちゃいましたけど……」

「ごはんはまだ?」とばかりに、お風呂上がりの力士の後を歩く。

翌日は帰京日だった。最初は渋い顔だった親方も皆の熱意に負け、「よし、連れて帰るか」。内海さんはダンボール箱に子猫を入れ、空港へ急いだ。「空港のカウンターで『猫ちゃんのご体調はいかがですか』と訊ねられて親方が『いま拾ったばかりなのでわかりません』と言ってました(笑)」

実は親方も大の動物好き。相撲には厳しいが、いまやモルにはめっぽう甘い。名付け親は、当時モンゴルから来日して日の浅かった蒼国来(そうこくらい)関。〝モル〟とは、モンゴル語で猫の意味。「モル、モル」と蒼国来関が母国語で話しかけていたのが由来だ。「私自身も日本の生活に慣れず心細かった時、モルに励まされました」

いまでは関取で部屋頭の蒼国来関に対しても、モルは遠慮なし。「ドア開けて」「水飲みたい!」、その大物感あふれる態度に関取も苦笑。「でも私とモルはほぼ同期だから(笑)。それに遊牧生活出身で常に動物と暮らしていた私にとって、猫はペットではなく対等な仲間なんです」

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