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手間のかけ甲斐がある味、滋養たっぷり牛すじレシピ。

下ごしらえさえ覚えれば簡単。何度でも作りたくなるはずです。栄養価も高い部位なのでぜひマスターしましょう。
  • 撮影・青木和義 スタイリング・渡邊美穂 文・一澤ひらり

手数をかけた何倍ものごほうびあり!うまみと滋養を濃縮したいのちの糧。

スネやアキレス腱など筋張った部分の牛すじ肉は、硬いけれどうまみは絶大。

「牛すじは下ごしらえが命です。じっくり煮込めばとろりと柔らかくなって、いい出汁もとれるので、スープやフォーを作ってもおいしいんですよ」

と料理研究家の平野由希子さん。冷凍保存できるので、おでんに入れたり、カレーに入れたり、料理のバラエティは多彩。しかもたんぱく質豊富で滋養満点。とくに美肌のもとになるコラーゲンたっぷりなのがうれしい。

アク、胸、臭みを取る、下ごしらえの手順。

1.今回は1㎏のすじ肉を用意。精肉店に頼むと入手しやすい。一度にまとめて下処理し冷凍しておくと、すぐに使えて便利。

2.鍋にたっぷりの水を入れて沸騰させ、すじ肉を入れて5分ほどゆでる。肉の臭みやアクなどを取り除くために重要なプロセス。

3.鍋の湯を捨てて、すじ肉をざるにあげ、流水でアクや脂をよく洗う。ここでしっかり洗っておくと煮込んだとき雑味が出ない。

4.すべて一緒に煮ると、筋の部分が硬いままになってしまうので、あらかじめ硬い筋の部分と柔らかい肉の部分を切り分けておく。

5.すじ肉を一口大に切る。筋目に対して垂直に包丁を入れると切りやすい。あまり小さくカットすると煮崩れてしまうので注意を。

6.鍋に筋の部分を入れ、肉がかぶるくらいの水を入れて火にかける。沸騰したらアクをこまめに取りながら、1時間煮込む。

7.柔らかい肉も加えてさらに30分。洋風にするならハーブや粒こしょう、和風にするならねぎの青い部分や生姜などを加えて煮る。

8.1時間半ほど煮込んで、程よく柔らかくなったすじ肉を冷ましてから、煮汁とともに保存容器に入れて、一晩冷蔵庫で寝かせる。

9.一晩おくと上澄み部分がヘットで固まっているので、スプーンで取り除く。ヘットは捨てずにすき焼きや炒め物に使うとよい。

10.ヘットを取り除くと、ゼラチン質たっぷりのすじ肉が現れる。小分けにして冷凍保存すれば、様々な料理に使うことができる。

じ っくり煮込んでトマトの酸味がまろやか、極上の味に。

牛すじとひよこ豆のスパイストマト煮

すじ肉は味がしみ込みにくいので、作った後一晩おくか、何度か火入れするとよい。

材料(4人分) 牛すじ肉400g ひよこ豆(ゆでたもの)300g 玉ねぎ½個 パプリカ1個にんにく1かけ クミンシード(ホール)小さじ1 赤唐辛子1本 オリーブオイル大さじ1 トマト水煮缶1缶 コリアンダー(パウダー)小さじ1 パプリカ(パウダー)小さじ2 塩、こしょう各適量

作り方 ①すじ肉は前ページのとおりに下処理をする。玉ねぎは繊維を断つように薄切りにする。にんにくは半分に切り、芽を取ってつぶす。パプリカは食べやすく切る。②鍋にオリーブオイル、にんにく、クミンシード、刻んだ赤唐辛子を入れて中火にかける。香りが立ったら、玉ねぎを入れて塩少々をふり、しんなりとするまで炒め、すじ肉、パプリカを加えて炒め合わせる。③ひよこ豆、つぶしたトマトの水煮を加え、すじ肉の煮汁2カップ、塩小さじ1、コリアンダー、パプリカパウダーを加えて弱火で1時間煮て、塩、こしょうで味を調える。

牛すじと新ごぼうのバルサミコ酢煮

バルサミコ酢で煮ることで、肉がより柔らかく、コクの深い大人の味わいに。

材料(4人分) 牛すじ肉400g 新ごぼう1本 玉ねぎ½個 バター大さじ1 バルサミコ酢½カップ トマトペースト大さじ2 はちみつ大さじ3 ローリエ1枚 ローズマリー1枝 塩、こしょう各適量

作り方 ①すじ肉は前ページのとおりに下処理をする。玉ねぎは繊維を断つように薄切りにする。ごぼうはたわしで皮をこすって洗い、乱切りにして水洗いし、アクを抜く。②鍋にバターを熱し、玉ねぎ、塩少々を入れてしんなりするまで炒める。ごぼうを加えて塩少々をふり、ふたをして3分程度蒸し炒めするようにし、時々かき混ぜながら火を通す。③すじ肉を入れ、バルサミコ酢を加えて煮立てる。すじ肉の煮汁2カップ、トマトペースト、はちみつ、ローリエ、ローズマリー、塩小さじ1を加え、1時間煮込む。④塩、こしょうで味を調える。

牛すじのうまみがこっくり。肉じゃがを一層味わい深く。

牛すじ肉じゃが

時間があれば、完成したら一度冷まして粗熱を取り、再度火を入れ直すことで、より味が深くしみ込んでおいしく仕上がる。

材料(4人分) 牛すじ肉200g じゃがいも大3個(約500g) 玉ねぎ1個 絹さや8枚  サラダ油小さじ1 酒、みりん各大さじ2 醤油大さじ2~3

作り方 ①すじ肉は前ページのとおりに下処理をする。じゃがいもは皮をむいて乱切り、玉ねぎは繊維に沿ってくし形に切る。②鍋を熱してサラダ油を入れ、すじ肉、じゃがいも、玉ねぎを加えて炒め合わせる。③ ②に酒、みりん、すじ肉の煮汁1カップを加えてふたをして弱火で煮る。④じゃがいもが柔らかくなったら、醤油を加え、ふたをとってさらに5分煮る。⑤火を止めてしばらくおき、味をなじませる。器に盛り、塩ゆでして半分に切った絹さやを散らす。

素材の魅力をストレートに味わえるシンプルな鍋仕立て。

牛すじの塩煮

具材を少なくして味つけはあっさり。だからこそ牛すじ本来のおいしさを堪能できる。

材料(4人分) 牛すじ肉400g ねぎ1本 生椎茸4枚 ゆで卵4個 出汁2カップ 酒½カップ みりん大さじ1 塩小さじ1強 醤油小さじ½

作り方 ①すじ肉は前ページのとおりに下処理をする。椎茸は半分に、ねぎはぶつ切りにする。②鍋に出汁、すじ肉の煮汁1カップ、すじ肉を入れて火にかける。煮立ったら、酒、みりん、塩、醤油を加え30分煮て、椎茸、ねぎ、ゆで卵を加えてさらに15分煮る。

『クロワッサン』950号より

●平野由希子さん 料理研究家/素材の持ち味を生かした、シンプルで作りやすい料理に定評がある。レシピとワインのサイトwine365主宰。

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