食肉のおいしさや健康作用を専門に研究している西村敏英さんによれば、「肉の味わいを決める最大の要因は香り」なのだという。
「食肉には赤身の水分の中に含まれているイノシン酸やグルタミン酸といったうま味成分と、脂の中に含まれている香気成分があります。どちらも加熱調理することで、赤身独特の香りや脂から揮発する甘い香りが生じます。うま味成分の味にこれらの香りが加わることで肉のおいしさが決まるのです」
とくに和牛に含まれるラクトンという脂肪酸由来の物質は、ココナッツや桃のような甘い香りを生み出す。〝牛肉を食べている〟という味覚のまさに決め手となる。