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その疲労感、実は病気かも?

「疲れ」ぐらいで病院へ行っていいのか? どんな「疲れ」が要注意なのか。最近話題の総合診療科についても聞いてみました。
  • 撮影・小出和弘

「最近疲れている」、そう感じることは誰にでもある。それが単なる疲労や生活習慣の乱れならいいのだが、疲労感が病気の症状として出ることがある。ただの疲れと侮っていて病気の発見が遅れないよう知っておきたいことを東京医科大学病院の原田芳巳さんに聞いた。

「疲れやすい、疲れが抜けないという自覚がある場合、いきなり病気を疑うのではなく、まず生活の見直しが必要です。睡眠と食事を充分にとり、休息すること。それでも改善しないのであれば、疲れのほかになにか別の症状がないかをチェックしてみてください」。「疲れた」とひとことで言ってもその症状はさまざま。例えば、「疲れて呼吸が苦しい、息切れがする」「疲れているのに眠れない、食欲もない」「疲れて微熱がある」など、疲れとともに見られる症状が、その原因となる生活習慣や病気を判断するヒントとなる。そのうえで近所の内科を受診して。

「診察でそれらを医師に話してみましょう。医師は必要に応じて血液検査、尿検査、エックス線などの基本的な検査をしてくれるはずです。この結果により軽症であれば投薬などの治療を受ければいいのですが、検査で異常が見つからず、その症状が1カ月程度続いていて、ひどくなるようなら紹介状を書いてもらって大きな病院を受診することをおすすめします」

東京医科大学病院准教授の原田芳巳さん。

かかりつけ医と特定機能病院を上手に利用しよう。

今の医療制度ではかかりつけ医の役割を果たす中小の病院と、高度な治療を受けられる大学病院などの大病院とがそれぞれの役割を効率的に果たすために、紹介状のシステムがある。紹介状なしに大病院を受診する場合は通常の診察料とは別に数千円程度の選定療養費を支払う必要がある。

「かかりつけ医をもっていると、なにか心配な症状があった時に相談しやすく、紹介状を書いてもらうのもスムーズです」と、原田さん。

「現状、さまざまな事情から紹介状なしで大病院を受診する患者も多いです。東京医科大学病院の総合診療科は、微熱が続く、原因不明の腹痛が続く、慢性的に疲労感があるなど、症状があるのになかなか原因がわからないという患者も多く診ています」

「総合診療科」とは最近よく耳にする言葉だが、どういうものなのか。

「総合診療科を設ける大病院が最近ふえています。その診療範囲は病院によって多少違うので、東京医科大学病院の場合について話します。いちばん重要な役割は、患者さん中心に考えるということ。患者さんにとって不快な症状があって原因がなかなかわからない場合に、ていねいな問診をし、原因にあたりをつけて検査をします。その過程で他科に相談するなど連携して治療にあたるのが特徴です」

患者の立場に寄り添って病気の原因を総合診療科の医師が責任をもって探ってくれるというこのシステム、とても魅力的だ。

今まで総合診療科を訪れた患者の症例にはどんなものがあるのか。60代の女性患者が「最近疲れる、だるくてしかたない」という症状を訴えて総合診療科を受診。顔色が白く貧血を疑った。さらに詳しく話を聞くと、10年ほど前に閉経したが最近また生理のような出血があるとのこと。婦人科で検査をすると子宮頸がんが発見された。

70代の女性の例。「疲れやすく、食欲がない、体重も減ってきた」と受診。さらに問診を重ねると、最近引っ越しをして、その頃から症状が出たということがわかる。身体の病気がないか併せて胃腸の検査、甲状腺機能検査をするが異常なし。そこでメンタルヘルス科でも診察を。うつまではいかないが不安感が強いとの診断で、抗不安剤を処方。1カ月後には見違えるほど元気になった。

ただの疲れかそうでないのか、見極めるポイントとは。

「疲れを感じても生活を改善すればなんでもない場合が多いです。一方、ほとんどすべての病気の症状のひとつとして疲労感が表れる可能性もあるのできりがないのですが、典型的なものを上の表にあげてみました。睡眠や休息をとっても疲労感がしつこく続き、通常の生活や仕事に明らかに支障が出ている、という自覚があるのなら、迷わず病院を受診しましょう」

「疲れプラスこの症状」で疑われる原因、病気

『クロワッサン』949号より

●原田芳巳さん 東京医科大学病院 総合診療科/東京医科大学准教授。紹介状のない患者、原因不明の症状に悩まされる患者も多く訪れる総合診療科で診療に当たっている。

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