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【後編】あの店も、この店も。つい欲張りになる京都。

京都に来たらやっぱり味わいたい本格的な和食。雰囲気はもちろん、味も間違いなし。気軽に居酒屋使いできる3軒を紹介。
  • 撮影・岩本慶三 文・大和まこ

[にこみ 鈴や]煮込みをアテに町家で昼飲みという贅沢。

明るくて昼酒にもちょうどいい午後4時からの開店で、カウンターの内側にはもつ煮込みとおでんの大鍋が湯気をあげる。そっけない品書きに書かれているのはポテトサラダやぬか漬けといった酒場の定番だけと思いきや、近海ものを扱う鮮魚商から直接買い付ける天然物の造りから、黒毛和牛の炭焼きなどまで幅広い。そのギャップに興味を掻き立てられ、食べれば値打ちぶりに納得する人が続出でいつも賑わう居酒屋がこちら。Tシャツ姿で店を切り盛りする店長の上門邦彦さんが和食の修業経験もあると聞けば、料理の洗練ぶりにも納得だ。おでんのたまごや焼たまねぎ、まかないカレーなど必食メニューも多い。築年数不詳という町家の空間とあわせて雰囲気を醸し出しているのが骨董を中心とした器づかい。正統派から用途不明の古道具まで、幅広い品揃えで人気の骨董店『アンティークベル』の店主・前田隆汎さんが営むだけに、目利きぶりはいうまでもなく。肩肘張らない骨董づかいの手本にもしたくなる。銅のおでん鍋が『有次』製というのも、京都で飲むという気分を盛り上げてくれるようだ。

おでんは 150円~。しょうが天や焼たまねぎな ど人気の具材は売り切れることも多い。
キュウリや赤カブなど、その時々の 野菜の自家製ぬか漬け300円。
もつ味噌煮込み600円 は赤味噌で強すぎない味に仕上げてい る。料理はすべて税込み。

●にこみ すずや 京都市中京区姉小路通新町東入ル町頭町90・5 南側2軒目 ☎︎075・708・3178 16時~23時 月曜休 価格の目安:4,000円 予約がベター。

[酒処 てらやま]路地奥に灯るあかりに誘われる新星。

先斗町通と木屋町通の間には25番までの路地がある。2016年12月、そのもっとも南の路地に登場したのが『酒処 てらやま』だ。店を切り盛りするのは寺山主一さん・絵里佳さん夫妻。主一さんは『食堂おがわ』など名店での和食修業を重ねてきた。「好きなのは老舗の『赤垣屋』や『神馬』。炭火焼のきっちりした料理なんかを食べて飲んで、締めにラーメンなんて気軽さもあれば」と思い描いたという。キリッと辛口のぬたなど、品書きには酒をすすませる料理が揃う。注文後におでんのだしで煮る春雨は、極めて上品な〆の麺といったところ。もうひとつ外せない〆は和牛の炭焼サンドウィッチ。ホテルの鉄板焼きやステーキ店で料理人として活躍してきた絵里佳さんが作るそれは、サクッとした食感と、ジュワッと口に広がる肉汁、スパイシーなソースのバランスが絶妙。もはや名物の風格が漂う一品だ。

京都牛のモモを使った和 牛の炭焼サンドウィッチ2,000円。
おでんの筍とワカメ800円、いいだ こ800円、大根300円。
ウドとホタルイカのぬた700円。

●さけどころ てらやま 京都市中京区鍋屋町212・3 25番路地 ☎︎075・255・3357 賚18時~翌2時(翌1時LO)日曜休 価格の目安:6,000円 予約がベター https://www.facebook.com/Sakedoko/?fref=ts

[柳小路 TAKA]大人も外国人も満足の進化系立ち飲み。

店の主人は世界的な人気店『NОBU ミラノ』で活躍してきたTAKAさん。「京都で生まれ育って日本料理を修業するうち、日本の魅力や和食を海外の人にきちんと知ってもらいたくて」イタリアへ渡ったという。休日には日本料理を教えたりもしながら、18年間の海外生活を経て帰国。「今度は日本の立ち飲みという文化を海外の人や、女性にも伝えたい」と立ち飲み屋を開いた。風情ある柳小路の中ほど、ガラス張りにして入りやすさを強調し、異なる食文化の人々にも受け入れてもらいやすいよう料理の中心は生ものよりも焼き鳥など火の通ったものにした。焼き鳥の鶏は朝じめのものを使い、注文が通ってから串に打つ。塩はロックソルトなど4種類を使い分ける。日本酒は滋賀の「金亀」オンリーで、精米度合いが異なるものをずらりと揃える。カウンターとキッチンが一体になったような空間で、目の前で料理が作られていくライブ感もまた楽しい。TAKAさんが言葉を取り持ち、旅行者同士が仲良くなることもしばしば。カジュアルな雰囲気や、値段からは想像がつかない内容は大人も充分に満喫できるものだ。

キッチンの活気がそのまま店の雰囲 気を作るような1階。
ナスのトマトソ ース煮400円。
カウンター の上に並ぶ食材を見て料理を決めるのもいい。

●やなぎこうじ たか 京都市中京区中之町577 柳小路はちべえ長屋 ☎︎075・708・5791 11時~23時(22時30分LO) 火曜休 価格の目安:3,000円 http://taka-kyoto-japan.net

『クロワッサン』947号より

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