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【前編】あの店も、この店も。つい欲張りになる京都。

京都に来たらやっぱり味わいたい本格的な和食。アラカルトで楽しめる、使い勝手のいい料理店を3軒紹介。
  • 撮影・岩本慶三 文・大和まこ

[実伶]若い店主が作る端正な料理と空間と。

近ごろ上質な店が増え、街が広がりつつある御所南の西あたり。『実伶』も2016年5月に暖簾を掲げた一軒だ。炭の香りに鼻をくすぐられつつ席に着けば期待はいやがおうにも高まるというもの。店主・中尾雄三さんは『炭屋旅館』や『祇園おかだ』で活躍してきた。「焼き物が好きなので炭火焼を主役に。単品で気兼ねなく地元の人にも来てもらえ、遅い時間でも大丈夫。自分が行きたい店を作りました」と話す。中尾さんの出身地の長崎・五島列島から直送される甘鯛やのどぐろから、旬野菜、丹波牛などを焼き上げる炭火焼。前菜から椀物、揚げ物、締めの釜飯などまで70種ほど揃う料理から迷いながら選ぶのも楽しいひととき。振り塩には藻塩、揚げ物には椿を海水で煮出した椿塩など5種類の塩を使い分ける細やかな気配りも、味を際立たせている。信楽焼の古谷道生さん、美濃焼の棚橋淳さんなど作家ものと骨董を織り交ぜた器づかいもまた上質だ。

唐すみとクリームチーズを揚げた板麩で食感もユニークな、唐すみとチーズ1,500円。
ハマグリと赤貝と山菜の酢味噌和え1,500円は優しい春の味わい。
タレ焼きにした焼たけのこと、和牛の 炭火焼2,000円。花わさびの薬味。

●みれい 京都市中京区竹屋町通室町東入亀屋町143・2 ☎︎075・251・2007 17時~22時30分(22時LO) 水曜休。価格の目安:8,000円 予約がベター。

[二条 有恒]割烹を思わせる町家でゆるりと過ごす。

祇園町南側の歌舞練場前に店を構える『祇園 迦陵』の2軒目がこちら。「住宅地でもある御所南で、ご近所さんに使ってもらえるちょっと上質な居酒屋というイメージ。お腹の具合に合わせたアラカルトづかいを」とは代表の堀部拓己さん。ぐじや鱧といった京料理に欠かせない魚介や、京野菜のたけのこや賀茂茄子、聖護院かぶらなど京都ならではの素材を揃えた料理は旅の者にとってもうれしい顔ぶれだ。華やかに盛り込まれたコース料理を思わせる八寸があるのもこの店の特徴で、多くの人が注文する人気の品となっている。

車海老旨煮など華やかに春を運ぶ八寸 は1人前2、000円。写真は2人前。
名物はきざみきつねと九条ねぎをあん かけにした狸ごはん800円。
ふわりと優しい味に仕上げた宍道湖の 白魚と菜の花の玉〆2,300円。

●にじょう ありつね 京都市中京区二条通寺町西入丁子屋町694・3 ☎︎075・212・7587 賚17時~23時 月曜休 価格の目安:7,000~8,000円 予約がベターhttp://aritsune.jp

[押小路 悠貴]遅くまで割烹料理を好みで味わえる至福。

コース仕立ての京料理を手頃に味わうことができると評判の『京料理 藤本』。その2軒目として御所南に店を構え、アラカルトを揃えるのが『押小路 悠貴』だ。なかでも独創性で注目を集めるのは季節の魚を使ったハンバーガー。春にはのどぐろフライとたけのこ。秋は鱧フライを松茸と共に。冬には鰤と下仁田ネギを合わせて。ソースには黄身酢を使うことでさっぱりと上品に、和食ならではの一品に仕上がっている。割烹仕立ての料理を、肩肘張らない居酒屋で味わう、そんな加減がちょうどいい。最終入店が23時という深夜営業で、京料理をアテに酒を楽しむなど2軒目としての使い方も可能。さまざまに使える懐の広さに、惹かれずにはいられない。

インパクトある姿の、のどぐろとたけのこの木の芽焼きのハンバーガー1,500円。
赤身の部位・しんたまを使う黒毛和牛 のローストビーフ1,800円は定番。
炒りからすみがけホタルイカと菜の花、 うるいの酢味噌がけ900円。

●おしこうじ ゆうき 京都市中京区押小路通寺町西入ル南側亀屋町406 ☎︎075・231・2508 18時~24時(23時最終入店) 水曜、毎月最終火曜休 価格の目安:5,000円 予約がベター

『クロワッサン』947号より

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※ 記事中の商品価格は、特に表記がない場合は税込価格です。ただしクロワッサン1043号以前から転載した記事に関しては、本体のみ(税抜き)の価格となります。

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