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【京都の名店案内】凝縮された旨味を堪能。スペイン料理の「acá °1(アカ)」

京都で訪れたい名店を紹介するシリーズ。今回は、古典的でシンプルな調理法でもてなす、スペイン料理の人気店「acá °1(アカ)」。
  • 撮影・岩本慶三

スペイン料理というと小皿のタパスが並ぶ居酒屋のようなバルを思い浮かべるかもしれない。烏丸御池に近い三条通沿い、狭い外階段を上った2階にある小さな店『アカ』も、内装はいたってカジュアル。しかし、侮ってはいけない。シェフの東(あずま)鉄雄さんが作りあげるのは、口にしたとたんに旨味が押し寄せる、目にも麗しい料理だ。

「よくモダンスパニッシュと言われるのですが、それって煙や泡や液体窒素など、皿の上のプレゼンテーションが重要視される奇抜な感じ。僕ももともとそういうのに憧れてスペインで修を始めましたが、やはり違うなと思い至りました。日本で喜んでもらえるスペイン料理ってなんやろうと思ったときに、重きをおくべきなのは食材で、スペイン料理らしい古典的でシンプルな調理法をしていけばいいのやと」

静岡の金目鯛、北海道の毛ガニ、富山のホタルイカ、佐賀の コハダ、岡山のハーブなど、日本中から最良の食材を集めて。

日本全国から仕入れるという食材(上写真)はツヤツヤと光りを放つ。昨年秋に本誌で紹介した、京都イタリアンの気鋭、『チェンチ』の坂本健シェフも、「いい食材を使っています」と太鼓判を押すほど。この素材を生かす調理法も見事。〈金目鯛の炭火焼き〉は、2週間熟成させて、身が柔らかくなり香りが立ち、脂もきれいにまわった金目鯛をさばき、さらに塩で余分な水分を抜いてから、真剣なまなざしで火加減をにらみつつ、丹念に火を入れていったもの。焦げた香りも食欲をそそる皮目はこんがりと、身はしっとりレアな桜色を見せる断面に注目! 東さん曰く「昔ながらの原始的な調理法」は、火との距離の取り方や焼き時間でだいぶ味が変わる職人技。カウンターごしに目の前で見ることができる。「あまりあれこれ食材を組み合わせたり、皿の上に盛り合わせたりせずに、その皿の何を食べてもらいたいかがわかりやすい料理が多いですね」

1万2000円のコースから。金目鯛の炭火 焼き、根セロリのピュレで。
シェフの東さん。手にしているのは、パエリア用 の特注ドームカバー。目の前で外すと歓声が。
オープンキッチンのカウンター8席。店内はカジ ュアルな雰囲気だが、料理は超一流。

名物〈イカの黒ケッタ〉なら、イカの味と香りにフォーカス。焦げる寸前までじっくり炒めた玉ねぎとホタルイカにトマトソースを入れて煮込んだ、イカの墨煮というスペイン料理をコロッケにしたもの。黒い衣は、自家製イカスミパンをパン粉にしているから。下に敷いたのも、ミーガスというアンダルシア地方のスナック菓子風のフレークをイカスミパン粉で作ったもので、これだけでも酒が進む。

ドーム状のカバーをかぶせて運ばれるパエリアは、よくある五目状態でなく、ノドグロならノドグロ、ウナギならウナギと単品で勝負。その日は何のパエリアなのか、客はワクワクしながら蓋が開くのを待つことになる。遠赤外線を通して水分量を調節しスープを吸い込む力が増した米で炊き上げた、パリッとしつつ周りに水分を含み米の芯はやや残る、東さん理想のパエリアはこの上なく香り高くジューシー。こんなパエリア、食べたことない。

コースはデザートを入れて9品ほど。「いきなりこれが出てきたらおもしろいやろうな」と、イノシシ肉をアクセントに使った皿が最初出てくることも。食材ありきの展開は、なんど通っても新たな感動をもたらすはずだ。

イカの黒ケッタ。ホタルイカと玉ねぎの煮込みをイカスミパンのパン粉でコロッケに。ウニを盛って。
毛ガニのパエリア。シンプルな食材で作るのがアカ流。

アカ●京都市中京区桝屋町55 白鳥ビル2F 電075・223・3002 12時~13時最終入店、18時~21時最終入店。日曜、祝日の月曜、大型連休の最終日休。 おまかせコース1万2000円、昼のみショートコース6,000円もあり(サービス料別)。要予約 http://aca-kyoto.jp/

『クロワッサン』947号より

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