ニュース

【前編】食のプロが厳選! 安全でおいしい食品の選び方。

これからもずっと食べ続けたいもの、ひいては次世代にも引き継ぎたい調味料や食品とは。
  • 撮影・岩本慶三 文・神舘和典
右から)食材ジャーナリストの手島奈緒さん。料理家の山脇りこさん。レナジャポンインスティテュート代表取締役の蟹瀬令子さん。

安全で、なおかつおいしい、子や孫の世代へと引き継いでいきたい食品とは。青果物の仕入れや情報誌の取材で全国の農産物を見てきた手島奈緒さん、料理教室を主宰しながら日本全国のみりんや醤油、味噌などの蔵を自分の目で確かめている料理家の山脇りこさん、実業家として世界各国の食の現場を体験してきた蟹瀬令子さん、それぞれ違う立場で食と向き合っている3人に、食品の選び方、食べ方の知恵を実体験とともに話してもらった。

山脇りこ(以下、山脇) 日本には伝統的な調味料の基本の〝さしすせそ(砂糖、塩、酢、醤油、味噌)〟がありますよね。私の場合、長崎の旅館を生家に育ってきたなかで、調味料の大切さが身に染みていて。だから、今使っている調味料のほとんどは、おいしいという理由に加えて、蔵まで行って作り手の話を聞いて選んでいます。だし昆布も漁に連れて行ってもらい確かめてきました。ひと口に昆布といっても、産地や、養殖か天然かなどで味が違ます。

手島奈緒(以下、手島) 私はまず、ラベルの表示を確認することが大事だと思います。その食品がどんな材料で作られているのか、食品添加物はもちろんですが、表示からわかることはたくさんあるんです。そして、現実的には難しい場合も多いですが、作り手の顔がわかっているものを口に入れられるのが理想です。

山脇 そうですね、お醤油ひとつとっても、どんな材料でどんな道具でだれが造っているかが大切です。例えば、小豆島にあるヤマロク醤油の蔵では醤油はすべて木桶で仕込んでいます。醤油はかつては酒蔵からさがってきた木桶などを使い、みんな木桶で仕込んでいましたが、今はお酒も木桶で仕込まなくなり、このままでは木桶そのものがなくなる、じゃあ木桶も作ろうということで、なんと桶まで自分たちで作っています。大変な努力をして味を守っているわけです。今、木桶仕込みの醤油は全体の1%くらいといわれています。

蟹瀬令子(以下、蟹瀬) お醤油はどんどん甘くなっている気がしますね。私はお二人のような食の専門家ではありませんが、よけいな混ざりものをいっさい食べさせないという厳格な祖父に育てられました。素材でも、調味料でも、まず、自分の舌で味をみなさい、と。すると、やはり作り手までさかの

ぼって知りたくなります。本当にいいものを作っている人って、儲けだけを考えているケースは、ほとんどないですね。

新鮮な塩の表記は「海水」。砂糖は「サトウキビ」。

山脇 儲けやコストを優先させると、加糖したり、加水したり、半分の原価で作ろうとしてしまうことも多い。

手島 原材料はシンプルであればシンプルであるほどいいのに。

蟹瀬 うちの食卓では特に塩が重要です。年齢的にも減塩しなくてはいけないので。質のいい塩を少量使う工夫をします。その結果、選びに選び抜いて、最終的には原料に「海水」としか表示されていない塩に行きつきました。輸入したものでも「Sea Salt」とだけ書かれている塩が一番おいしくて自然な甘さも感じます。箕み に海水をかけて乾かした塩を焼いただけだから、ビタミンやミネラルも豊富。一粒一粒全部がきれいな三角錐の結晶なんですよ。

手島 砂糖も原材料はシンプル。亜熱帯で栽培されるサトウキビ、あるいは冷帯で栽培されるテンサイ(サトウダイコン)です。つまり、国産の場合、ほとんどが沖縄県産と北海道産になります。あとは、鹿児島県の奄美大島や喜界島でしょうか。しかし砂糖には原産地の表示義務はないので表示からはわかりません。

山脇 原材料表示は「原料糖」とか「サトウキビ」だけでいいそうです。日本に流通する砂糖の原料は、国産が2割、輸入が8割とも聞きました。私は大阪にある鴻おおとり商店の無加工、無精製の国産の生砂糖や沖縄の黒糖を使っています。少し高価格だけど、旨みやコクがあるだけでなく、塩と同じようにビタミンやミネラルが豊富です。

蟹瀬 こういう砂糖をみんなが買えば、生産量が増えて、単価も下がりますね。

山脇 現実的には大量生産はできないかもしれませんけれど、多くの人が食に対する意識を高く持てば、少なくとも、いいものが廃れずに、次世代へ引き継がれていくと思います。

『クロワッサン』946号より

●手島奈緒さん 食材ジャーナリスト/大地を守る会を経て、ほんものの食べものくらぶを設立。食についてのさまざまな情報を発信。

●山脇りこさん 料理家/料理教室「リコズキッチン」を主宰。調味料マニア。最新刊は『いとしの自家製 手がおいしくするもの』。

●蟹瀬令子さん レナ・ジャポン・インスティテュート代表取締役/博報堂を経て、イオンフォレスト、ケイ・アソシエイツの社長を歴任し現職。

この記事が気に入ったらいいね!&フォローしよう

この記事が気に入ったらいいね!&フォローしよう

SHARE