今日のスープは牛骨でとったストックで、野菜をとろ火で煮込んだもの。
「アメリカでTボーンステーキを食べたとき、残った骨を持ち帰って煮込んだらおいしい牛骨のスープができたんです。日本でも食べたいと夫にリクエストされて作ってみました。牛骨を煮込んで、冷蔵庫の残り野菜を入れるだけだから簡単なんですよ」(英利子さん)
パンとスープと、副菜は英利子さんお手製の牡蠣のオイル漬けとひじきの煮物。和食の惣菜も顔を出すのが山本家の朝食だ。「うまきゃいいんだよ」と一力さんの磊らいらく落な笑い声。もうひとつ、パンに欠かせないのは一力さんがミルで豆を挽いて淹れるデカフェだ。
「これはマンハッタンの『エンパイア・コーヒー』って店の豆で、俺が好きなのはモカ。デカフェとは思えないおいしさなんだ」
実はこの店も登場する短編集を書き上げ、この1月に出版したばかり。パンのある食卓こそ、一力さんの創作の原動力になっている。